
むずむし治療薬セレクト
症状 | あしのゆびの間がジュクジュク(趾間型) | かかと、足の裏が厚くてガサガサ | 足のゆびの間がかゆい(趾間型) | 赤くて水疱ありかゆみ強い |
製剤名 | ダマリングランデパウダースプレー | メンソレータムエクシブWディープ10クリーム | ピロエースZクリーム | ピロエースZ軟膏 |
特長 | パウダースプレーなので患部に触らないで済み、塗布後の手洗いがいらない、かゆみを和らげる成分配合【指定第二類医薬品】 | クリームタイプ、固くなった皮膚を柔らかくする尿素配合、かゆみと炎症を和らげる成分、殺菌消毒成分も配合【指定第二類医薬品】 | クリームタイプ、かゆみを和らげる成分、殺菌消毒成分も配合【指定第二類医薬品】 | 基材がワセリンなので刺激感は起こしにくい【指定第二類医薬品】 |
有効成分 | テルビナフィン塩酸塩1.5mg | テルビナフィン塩酸塩10mg | ラノコナゾール10mg | ラノコナゾール10mg |
包装 | 90g | 35g | 15g | 15g |
効能効果 | 水虫,いんきんたむし,ぜにたむし | みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし | みずむし,いんきんたむし,ぜにたむし | 水虫、いんきんたむし、ぜにたむし |
価格リンク |
湿気で増える水虫対策に効果的な市販薬
水虫の症状と原因を正しく知ろう
梅雨や夏など湿度が高い時期になると、足の指がかゆくなったり、皮がむけて白くふやけたりすることがあります。これは「水虫(足白癬)」の典型的な症状で、多くの方が経験するものです。
まず最初に水虫は家庭内のお風呂や壁などに見られる黒カビなどとは異なり、「皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)」という人の皮膚に感染・増殖するカビの一種による感染症です。湿気や汗が多いと菌が増えやすくなります。
特に足白癬は足の蒸れが皮膚糸状菌の増殖の原因となるので、梅雨から夏にかけて湿度の高い時期は通気性の良い靴を履くように注意しましょう。このように環境による影響が大きいことが知られています。まずは水虫の症状やタイプ、原因を正しく知っておきましょう。
水虫には主に3つのタイプがあります。
1つ目は「趾間型(しかんがた)」で、足の指の間がふやけて白くなり、強いかゆみを感じやすいです。足の小指と中指の間から良く始まります。
2つ目は「小水疱型(しょうすいほうがた)」で、足の側面や土踏まずに小さな水ぶくれ(水疱)ができ、かゆみや湿り気を伴います。
3つ目は「角化型(かくかがた)」で、足の裏が乾燥して角質が厚くなり、白い粉のようにむけるタイプです。踵(かかと)によくできます。あとは土踏まず以外の足の裏。角化型はかゆみが軽く、見落とされやすい特徴もあります。
また、「水虫」と似た症状を持つ他の皮膚疾患もあります。たとえば「汗疱性湿疹」「接触皮膚炎」「乾癬」などです。これらは治療方法が異なるため、症状が長引く場合や自己判断に迷う場合は、早めに医師や薬剤師に相談してください。
水虫はどなたでもかかる可能性があり、決して特別な病気ではありません。長時間靴を履く方や、スポーツで汗をかく機会が多い方は、足の衛生管理に少しだけ気を配ると安心です。
水虫が増える季節とその理由
気温と湿度が高くなると、靴や靴下の中はまるで「温室」のような状態になります。この環境を皮膚糸状菌はとても好み、菌の増殖が活発になります。特に梅雨や夏は、水虫の予防とケアがいっそう大事な時期です。
水虫の感染経路と予防のポイント
水虫は、感染者が歩いた床やバスマット、スリッパなどを介してうつることがあります。家族間で広がりやすいため、タオルやバスマットの共有は避けるのがポイントです。入浴後は足をしっかり乾かし、清潔に保つことが予防の基本となります。
水虫と家庭のカビの違い
水虫は皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)という、人の皮膚の角質層に感染するカビの一種による感染症です。お風呂場の黒カビなど、家庭内で見かけるカビとは種類も性質も異なります。家庭用のカビ取り剤では水虫は治せませんので、必ず専用の治療薬を使いましょう。
市販薬による水虫対策の基本
水虫対策で大切なのは、「正しい薬の選択」と「継続的な使用」です。市販の水虫薬(OTC抗真菌薬)は、薬局やドラッグストアで手に入り、初期や軽い水虫に有効です。ここでは主な成分や使い方、効果の違いについて解説します。
水虫治療に使われる主な市販薬の成分は、テルビナフィン、ブテナフィン、クロトリマゾール、ミコナゾールなどです。いずれも抗真菌作用を持ち、水虫の原因真菌を死滅させます。足白癬への外用薬の塗布はガイドラインでも行うように推奨されています(日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019)。
市販薬の有効成分について
- テルビナフィン:殺菌力が強く、1日1回の塗布で十分な効果が期待できます。基本は4週間以上継続して使う必要があります。海外では短期間(1週間)の集中治療の報告もありますが、日本国内の市販薬では通常4週間以上の継続使用が推奨されています。
- ブテナフィン:テルビナフィンと同様に1日1回の塗布でOKです。皮膚への浸透力が高く、長時間作用します。抗炎症作用もあり、かゆみの軽減が期待できます(ただし、かゆみ止め成分が配合されていない製品も多いので、成分表示を確認しましょう)。
- クロトリマゾール、ミコナゾール:1日1〜2回の塗布が推奨され、皮膚糸状菌だけでなく、カンジダや一部の酵母菌にも効果があります。軽症や初期の水虫に向いています。
正しい塗り方と治療期間の重要性
水虫薬の効果をしっかり発揮するには、「毎日決まった時間に」「患部より少し広めに」「規定期間きちんと塗る」ことが大切です。
かゆみや見た目が良くなったからといって自己判断で治療をやめてしまうと、皮膚の奥に菌が残り再発しやすくなります。ガイドラインでも「症状が消えてから1〜2週間は追加で塗り続ける」ことが推奨されています。治療を途中でやめてしまうと再発リスクが高まるため、根気よく続けましょう。
- 趾間型(足の指の間に患部のあるもの):2ケ月以上継続
- 小水疱型(水ぶくれや皮むけ強いかゆみを伴う、土踏まずなど):3か月以上継続
- 角化型(かかとなどに良くできる角質が厚くなり皮がボロボロむける):6か月以上継続
市販薬を選ぶ際のポイント
市販薬にはクリーム、ジェル、スプレー、液状など様々なタイプがあります。患部の状態や広がり、使用感の好みに合わせて選びましょう。
- クリームタイプ:しっとりしていて広範囲に塗りやすく、角化型や乾燥しやすい肌の方にもおすすめです。
- ジェル・液体タイプ:べたつかず、さらっとした使い心地。趾間型や湿りやすい部位に向いています。
- スプレータイプ:手を汚さず使えるので、外出先や忙しい方に便利です。
「テルビナフィン1%配合」「ブテナフィン1%配合」といった表示のある市販薬が主流です。
お薬選びに迷ったときは、ドラッグストアの薬剤師に相談していただくと、ご自身の症状や好みに合った剤形を選ぶサポートができます。
市販薬での副作用とその対処法
市販薬にはいくつかの種類のものがありますが、特に抗真菌作用(水虫菌を殺す作用)のある有効成分にはすべて過敏症や接触皮膚炎を起こす可能性があります。塗布によって、赤くなり発疹が広がる、かえってかゆくなる、刺激感、熱感が強い、ただれる、水疱、ひりひり感などが出るようなら中止して医師か薬剤師に相談してください。
効果的な治療のコツと受診が必要なケース
水虫の治療は、ご自身の症状や生活スタイルに合わせ、根気よく続けることが大切です。市販薬で改善しない場合や症状が重い場合は、早めに専門医を受診しましょう。
市販薬で治療が難しいケース
次のような場合は、市販薬のみでの完治が難しいことがあります。
- 2週間以上市販薬を使っても改善しない、もしくは悪化する
- 皮膚がただれていたり、悪臭や浸出液がある
- 爪が白く濁ったり、厚く変形している(爪白癬の疑い)
- 足全体や広範囲に症状が広がっている
- 慢性化して何度も再発を繰り返している
- 糖尿病などの基礎疾患がある
- 過去に水虫と診断されたことがない(違う皮膚病の可能性がある)
特に爪白癬(爪水虫)は市販薬での治療が困難です。
「爪が白く濁る」「厚くなる」「ボロボロになる」などの症状がみられる場合は、必ず皮膚科を受診してください。内服薬(テルビナフィンやイトラコナゾールなど)が必要になることがありますし、外用薬で治療する場合も医師の診断が必要な医療用医薬品が必要になります。
これらの場合は、皮膚科を早めに受診してください。
症状が長引くと、家族や周囲の方にうつるリスクも高まります。
皮膚科での最新治療
皮膚科では外用薬の選択肢がさらに広がり、重症例や爪白癬では内服薬が使用されます。特に爪白癬の場合、外用薬だけでは十分な効果が得られないため、12週間ほどの内服治療(テルビナフィンやイトラコナゾール)が行われます。
これらの内服薬は外用薬よりも高い治癒率が証明されています(Cochraneレビューではテルビナフィン外用の治癒率は72〜88%)。
専門医の診断に基づき、適切な治療を受けることが大切です。
自己判断せず、専門家に相談を
水虫を放置すると慢性化し、治りにくくなるだけでなく、爪白癬など他の部位にも広がることがあります。
また、他の皮膚疾患との区別が難しいことも多いです。
症状が重い場合や、再発を繰り返す場合は、早めに薬剤師や医師に相談してください。
正しい診断と治療で健康な足を取り戻しましょう。
水虫対策のQ&Aと日常ケアのポイント
水虫の再発を防ぐには、日々のケアもとても大切です。ここではよくある疑問と、日常生活でできる予防法を紹介します。
水虫が再発しやすい理由
水虫は一度治っても、同じ環境が続くと再発しやすい特徴があります。皮膚糸状菌は症状が治まった後もわずかに皮膚に残ることがあり、治療を途中でやめると再び増殖することがあります。
湿気の多い季節や蒸れやすい靴、汗をかきやすい生活習慣も再発の大きな要因です。
家庭でできる水虫対策
毎日のちょっとした工夫で、水虫の発生・再発は大きく減らせます。以下のポイントを参考にしてください。
- 足を清潔に保つ:毎日、足の指の間までしっかり洗い、洗った後はタオルで水気を丁寧にふき取ります。
- 靴下・靴の選び方:吸湿性や通気性の良い素材(綿や麻)を選び、こまめに交換しましょう。靴は毎日同じものを履き続けず、しっかり乾燥させてください。
- バスマットやスリッパの管理:家族で共有せず、こまめに洗濯・交換し、感染経路を断ちましょう。
- 水虫ができやすい環境を避ける:スポーツジムや銭湯など公共の場では、自分専用のサンダルを使うのも有効です。
市販薬を使う際の注意点・よくある質問
Q1. 水虫薬は症状がなくなったらやめていいの?
A. いいえ。症状が消えても真菌が完全にいなくなったとは限りません。症状が改善してから1〜2週間は追加で塗り続けることが大切です。患部の状態によりますが2ケ月以上は継続をおすすめします。
Q2. 爪にも塗れる市販薬はあるの?
A. 爪白癬に適応のある市販薬はありません。爪が変色・変形している場合は、自己判断せず皮膚科を受診しましょう。
Q3. 市販薬はどれを選べばいい?
A. テルビナフィンやブテナフィン配合の薬が推奨されます。
使用感や剤形、患部の状態に合わせて選ぶと良いでしょう。
迷った場合は薬剤師に相談してください。
まとめ:水虫対策は「正しい治療と予防」が鍵
湿気の多い季節は水虫のトラブルが増えますが、正しい知識と市販薬の適切な使用、日々の予防ケアで十分に対処できます。
症状が軽いうちに治療を始め、最後まで根気よく使い続けることが再発防止の最大のポイントです。
市販薬の選び方や使い方に迷ったときは、薬剤師に気軽に相談してください。症状が重い場合やなかなか治らない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。健康な足を守るためにも、日々のケアと正しい治療を心がけてください。