旅行前に備える酔い止め薬:乗り物酔い対策

鎮うん薬セレクトOTC

製品名 センパアPro センパアラムキュア トラベルミン ファミリー
特長 めまい、吐き気、頭痛の予防治療へ有効成分が5種類入っており有効成分を多め、症状強く出る人向き 子供に使える 有効成分は2種類だけに絞っている、ラムネのように水なしで噛んで飲める、ぶどう味 子供も大人も使える、メクリジン配合、ラムネのように口の中で溶かして飲める速崩錠、水なしでOK
有効成分 1錠中 アミノ安息香酸エチル 100mg スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.25mg d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 2mg ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) 10mg 無水カフェイン 20mg 2錠中 d-マレイン酸クロルフェニラミン 1.32mg スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.16mg 2錠中 塩酸メクリジン 25mg スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.16mg
包装 6錠 8錠 6錠
効能効果 乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和 乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和 乗物酔によるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和
価格リンク
用法用量 乗物酔いの予防には乗車船30分前に服用してください。 [年令:1回量:服用回数] 15才以上:1錠:1日1回 15才未満:服用しないこと 次の量をかむか,口中で溶かして服用してください。乗物酔いの予防には乗車船の30分前に服用してください。なお,必要に応じて追加服用する場合には,1回量を4時間以上の間隔をおき服用してください。 [年令:1回量:服用回数] 11才以上:2錠:1日2回まで 5才〜10才:1錠:1日2回まで 5才未満:服用しないこと 乗物酔いの予防には,乗車船30分前に,次の1回量をかむか,口中で溶かして服用してください。 [年齢:1回量:1日服用回数] 成人(15才以上):2錠:4時間以上の間隔をおいて2回まで 11才〜14才:2錠:4時間以上の間隔をおいて2回まで 5才〜10才:1錠:4時間以上の間隔をおいて2回まで 5才未満:服用しないこと なお,追加服用する場合は,1回量を4時間以上の間隔をおいて服用してください。1日の服用回数は2回までとしてください。
規制区分 第「2」類医薬品 第2類医薬品 第2類医薬品
使用上の注意 15歳未満は使用しないこと・服用した日は運転しない・緑内障、心臓病、排尿困難ある人は要相談 5歳未満は使用しないこと・緑内障、心臓病、排尿困難ある人は要相談、服用した日は運転しない 5歳未満は使用しないこと・緑内障、心臓病、排尿困難ある人は要相談、服用した日は運転しない

旅行前に備える酔い止め薬:乗り物酔い対策

旅行前の乗り物酔いやつわり対策に役立つ酔い止め薬(制吐薬)の選び方と、最新のエビデンス、注意点について解説します。

乗り物酔いとは?その症状と発生メカニズム

乗り物酔いは、旅行や移動の際によく見られる不快な症状で、医学的には「動揺病(どうようびょう)」と呼ばれます。車やバス、船、飛行機などで加速度の変化を受けることで起こり、特に船での発症が多いとされています。体質による差はありますが、空腹や睡眠不足、ストレス、疲れなども症状を悪化させる要因になります。

主な症状は、吐き気、冷や汗、頭痛、顔色の悪化、嘔吐などです。これは、バランス感覚をつかさどる内耳と、目や小脳からの情報が食い違い、脳が混乱することで発症します。たとえば車内で読書をすると、目は「動いていない」と感じる一方で、内耳は「動いている」と感じているため、脳が混乱しやすくなります。

症状が強いと、水分や栄養が不足し、脱水や体調不良につながることもあります。特に長距離移動や旅行の際は、しっかりとした予防や対策が大切です。

乗り物酔いのリスク要因と予防の基本・席の位置も大事

乗り物酔いには、なりやすい方となりにくい方がいます。もともとの体質に加えて、空腹や睡眠不足、ストレス、疲労、前日の飲酒などが大きなリスクとなります。特にお子さんや妊娠中の方、ご高齢の方は症状が強く出やすい傾向があります。予防の基本は、出発前にしっかり睡眠をとり、空腹や満腹を避けて、消化の良い炭水化物中心の食事をとることです。

乗り物の中では、できるだけ遠くの景色を見るようにし、読書やスマートフォンの操作を控える、新鮮な空気を取り入れるなども大切です。座席選びもポイントで、車は前席、船は中央で下層の窓があるところ、飛行機は翼の近くが揺れにくい場所となります。これらの位置は乗り物酔いがしにくい報告があります。

乗り物酔い止め薬(鎮うん薬)とエビデンス

乗り物酔いやつわりに対して、市販の酔い止め薬(鎮うん薬)にはいくつか種類があります。それぞれの成分の働きや科学的な根拠、注意すべき点についてご説明します。

主な有効成分とその効果

日本で市販されている主な成分は次のとおりです。市販されているOTCはこれらの成分の組み合わせでできています。結論だけ先にまとめると、抗ヒスタミン系(メクリジン・ジフェンヒドラミン・クロルフェニラミン)が最も実績が高く、微量スコポラミンやビタミンB6は補完的です。抗ヒスタミン系とスコポラミンはいずれも眠気や口渇など抗コリン作用に伴う副作用が共通し、運転前の使用には注意が必要です。

使い分けの目安は、この4つ。

  • 短距離 or 軽症予防 → 抗ヒスタミン(眠気に注意)。一日二回用法のもの。
  • 長距離移動 / 船旅 → メクリジン(眠気に注意)・スコポラミン配合製剤。一日一回の用法のもの。
  • 発症後に服用 → ジフェニドール。
  • 眠気対策 → 無水カフェイン入りを選ぶが、夜間は避ける。

成分ごとの特徴は下記。

  • 抗ヒスタミン系 ― 主に予防向け・めまいが出やすい人に
    • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(センパアPro®/アネロン®ニスキャップほか)
      特徴:1日1回型のカプセルが主流。ヒスタミンH₁受容体を抑えてめまい・吐き気を予防し、船・車・飛行機など幅広い場面で使える。即効性はある。
      注意点:強い鎮静作用があり、眠くなりやすい。服用後4〜25時間は眠気が残る可能性。運転・機械操作は不可。抗コリン作用による口渇にも留意。
    • ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(トラベルミン®など)
      特徴:上記同様で速攻性はある。眠気は中程度
      注意点:眠気・口渇・視覚ぼやけが典型。服用当日の車両運転は禁止
    • メクリジン塩酸塩(トラベルミン®・ファミリーなど)
      特徴:効果発現は遅いが8〜24 hと持続が長く、長距離移動やフェリー旅行に好適。
      注意点:眠気は上記2成分より軽いがゼロではない。
  • 鎮うん成分 ― 「酔ってから」も使える
    • ジフェニドール塩酸塩(トラベルミンR®)
      特徴:前庭神経核の興奮を直接抑え、内耳からくる平衡感覚の混乱を和らげる。乗り物酔いしてしまった後のめまい・吐き気も速やかに鎮める。眠気が出にくい。
      注意点:弱い抗コリン作用があり口渇・便秘、散瞳が出ることがある。緑内障・前立腺肥大は要医師相談。
  • 抗コリン系 ― 強い吐き気の出る人に・長時間航海向け
    • スコポラミン臭化水素酸塩水和物(センパアPro®ほか)
      特徴:中枢・末梢のM₁ムスカリン受容体を遮断し、吐き気・嘔吐を強力に抑制。錠剤・カプセル1回量に微量(通常0.16–0.25 mg)配合で、1日1回タイプが多い。船旅など長時間の揺れに向く。
      注意点:口渇・散瞳・排尿困難が出やすく、閉塞隅角緑内障・高齢者・前立腺肥大では禁忌または慎重投与。眠気自体はやや弱いが、視覚障害が起こるため運転不可。
      他の抗コリン系との相違点
      日本OTCで認可されている乗り物酔いの抗コリン薬は“微量スコポラミン”のみ。
      スコポラミンは抗ヒスタミンとの合剤が主流で、単剤製品は存在しない。配合量も低く抑えられ、副作用頻度を下げているのが特徴。
  • 補助成分 ― 主薬の効果を“底上げ”
    • 無水カフェイン(センパアPro®・アネロン®ほか)
      特徴:中枢刺激で抗ヒスタミンによる眠気を打ち消し、頭重感や軽いめまいを緩和する目的で少量配合。
      注意点:単独では“酔い止め”効果は乏しい。不眠・頻脈・手の震えなど交感神経刺激症状を招きやすく、夕方以降や心疾患・妊婦では避けるのが無難。

先に述べたように1種類だけで効果が十分なOTCは無く、これらの成分の組み合わせの製剤が販売されています。それぞれ製剤ごとにも特徴が出てきます。

安全性と副作用について

これらの薬には共通して、「眠気」「口の渇き」「便秘」「排尿しづらさ(排尿困難)」などの副作用があります。特に「抗コリン作用」が強い薬は、緑内障や前立腺肥大、心臓病のある方や高齢者ではリスクが高まりますので、使用には注意が必要です。

抗コリン作用とは体内の神経の動作に関与しているアセチルコリンの働きを邪魔する性質のことです。抗コリン作用により内臓や神経の働きが鈍りますので、腸は動きが遅くなり、心臓の脈の制御緩くなり、体液の分泌が止まります。からなず起こるわけで無いにしろ、これが様々な副作用を招きます。

また、睡眠薬やベンゾジアゼピン系薬剤との併用で眠気やふらつきが強くなることがあります。
複数の薬を服用している方は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

小児・高齢者での選び方と注意点

  • 小児:
    3歳未満の小児はまだ平衡感覚や脳の発達が十分ではないため乗り物酔いはほとんどないと言われています。OTCでは三歳未満に使用できる製品は販売されていません。3歳以上の小児に使用できる製品は市販されています。小児の薬の使用は、必ず年齢・体重にあわせて、医師や薬剤師にご相談ください。
  • 高齢者:
    第一世代の抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は、高齢者では副作用が出やすいため、薬の使用は必要最小限にとどめ、脱水や転倒にも十分注意しましょう。気になることがあれば医師や薬剤師にご相談ください。

非薬物的な予防法と受診が必要なケース

薬に頼るだけでなく、日常生活でできる予防法や、重症時に受診が必要な場合についても知っておきましょう。

日常でできる乗り物酔い・つわり予防のポイント

薬以外の対策も、お子さんや妊婦さん、ご高齢の方にはとても大切です。効果が報告されている方法をご紹介します。

  • 座席の選び方:車は前席、船は中央、飛行機は翼の近くが揺れにくいです。
  • 視線の工夫:遠くの景色を見るようにし、読書やスマートフォンの画面はなるべく避けましょう。
  • 換気・におい対策:新鮮な空気を取り入れ、強いにおいは避けましょう。アロマ(芳香療法)で気分転換する方法もありますが、妊婦さんや小児では安全性に注意が必要です。ご使用の際は必ず医師や薬剤師にご相談ください。
  • 食事のタイミングと内容:出発2時間前までに、炭水化物中心の軽い食事をとりましょう。脂っこいものや食べ過ぎ、アルコールは避けてください。

これらは薬と併用しても問題ありません。特にお子さんや妊婦さん、ご高齢の方は、まずは生活習慣や環境の工夫から始めてみてください。

つわりと乗り物酔いの違いと注意点

乗り物酔いは一時的な刺激によるものですが、つわりは妊娠による体内環境の変化が主な原因です。つわりは妊娠5~12週ごろに始まり、16週までに多くの方が自然に軽快します。ただし、重症の場合は点滴などの治療が必要になることもあります。妊婦さんで体重が5%以上減った、水分がとれない場合は「妊娠悪阻」の可能性があり、点滴や医療用の制吐薬が必要になることがあります乗り物酔いと症状が似ていても、原因や治療の方針が異なるため、市販薬の安易な使用は特に妊婦さんでは推奨されません。妊娠中の方は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

市販薬で改善しない場合の受診目安

市販薬で症状が改善しない場合や、次のような場合は早めに医療機関を受診してください。

  • 移動中に3回以上嘔吐し、水分がとれない、尿が減る、強いめまいなど脱水の兆しがある場合
  • 小児で繰り返し嘔吐し、ぐったりしている、発熱がある場合は胃腸炎や頭の病気など重い病気の可能性もあるので、早めの受診が大切です

なお、ご自身やご家族の体調が心配なときは、遠慮せずに医療機関にご相談ください。

まとめ:安心して旅行を楽しむために

旅行や外出は本来楽しいものですが、乗り物酔いでつらい思いをすることもあります。

乗り物酔いは多くの方が経験する一時的な体調不良ですが、適切な対策をとることで十分に予防・軽減できます。市販の酔い止め薬(制吐薬)は科学的根拠に基づいた有効成分がそろっていますが、用法・用量、副作用、注意点を守って使いましょう。また、薬には「眠気」の副作用がありますので、運転や機械作業は避けましょう。「口の渇き」「便秘」「排尿しづらくなる」など稀な副作用にも注意してください。

薬だけに頼らず、普段から体調を整えておく生活習慣の見直しや座席の工夫などの予防策の工夫も大切です。

もし症状が重い、または長引く場合は、早めに医療機関を受診してください。安心して旅行や日常生活を楽しめるよう、薬剤師としてサポートします。市販の酔い止め薬の購入や使用の際は、医師・薬剤師にご相談ください。

トラベルミンR

鎮うん成分 ジフェニドール配合

眠気がでにくいので乗り物の中で眠りたくない人向け、

酔ってからでも効く成分を配合しています。

11歳以上から使用可能

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