男性と女性で市販毛髪用薬はどう違う?薄毛対策で知っておきたいポイント

毛髪用薬セレクト

用途 男性用 女性用 男性用 おまけ
製品名 リアップX5 チャージ 62mL リアップリジェンヌ 60mL リアップX5プラスネオ(通販限定パッケージ) 60mL リアップスムースリンスインシャンプー 400mL ポンプ【化粧品】
特長 ミノキシジル5%に加えて8つの有効成分・4ケ月使用する ミノキシジル1%配合・6カ月使用する・男性用よりボトルがカワイイ リアップX5チャージからパンテノール(頭皮の栄養成分)抜いたもの少し安い 蓄積した皮脂を洗い落し、フケ・かゆみ・においをふせぐ、頭皮の環境は脱毛を助長する、リンスインシャンプで時短!
有効成分 100mL中 成分 分量 ミノキシジル 5.0g ピリドキシン塩酸塩 0.05g トコフェロール酢酸エステル 0.08g l-メントール 0.3g ジフェンヒドラミン塩酸塩 0.1g グリチルレチン酸 0.1g ヒノキチオール 0.05g パンテノール 1.0g 100mL中 成分 分量 ミノキシジル 1.0g パントテニールエチルエーテル 1.0g トコフェロール酢酸エステル 0.08g l-メントール 0.3g 100mL中 成分 分量 ミノキシジル 5.0g ピリドキシン塩酸塩 0.05g 酢酸トコフェロール 0.08g l-メントール 0.3g ジフェンヒドラミン塩酸塩 0.1g グリチルレチン酸 0.1g ヒノキチオール 0.05g ディープクレンジング成分(アミノ酸系界面活性剤)、保湿剤のアミノ酸、ビタミン、海藻エキス、生姜エキス
包装 62ml(31日分) 60ml(30日分) 60ml(30日分) 400mlポンプ
効能効果 壮年性脱毛症における発毛,育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防 壮年性脱毛症における発毛,育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防 リアップX5チャージと同様 (化粧品なので表示できない)
価格リンク
用法用量 成人男性(20歳以上)が,1日2回,1回1mLを脱毛している頭皮に塗布してください。 1回1mLのご使用は,脱毛範囲の大小に関係なくお守りください。1mLは塗り広げれば,頭皮全体に十分に行きわたる量として設計してあります。 成人女性(20歳以上)が,1日2回,1回1mLを脱毛している頭皮に塗布してください。 1回1mLのご使用は,脱毛範囲の大小に関係なくお守りください。1mLは塗り広げれば,頭皮全体に十分に行きわたる量として設計してあります。 リアップX5チャージと同様 (化粧品なので表示できない)
規制区分 第1類医薬品 第1類医薬品 第1類医薬品 化粧品
使用上の注意 抜粋:(2)高血圧の人,低血圧の人。(6)高齢者(65歳以上)。一般に高齢者では好ましくない症状が発現しやすくなります。(7)次の診断を受けている人。甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症)。甲状腺疾患による脱毛の可能性があります。 4.使用開始後6ヵ月以内であっても,脱毛状態の悪化や,次のような脱毛が見られた場合は,使用を中止し,この説明書を持って医師又は薬剤師に相談してください。頭頂部だけでなく側頭部や後頭部などの頭部全体の脱毛,頭髪以外の脱毛,斑状の脱毛,急激な脱毛など。 男性に比べ女性に多く見られる甲状腺疾患による脱毛等,壮年性脱毛症以外の脱毛症であったり,脱毛が他の原因によるものである可能性があります。 リアップX5チャージと同様 目に入らないようにしてください

男性と女性で市販毛髪用薬はどう違う?薄毛対策で知っておきたいポイント

男性と女性の薄毛は原因や進行パターン、ホルモンの影響が異なるため、市販の毛髪用薬の選び方も変わります。男性は男性型脱毛症(AGA)を主に示します。女性は女性型脱毛症(FPHL)や一過性の休止期脱毛(出産後や高熱後など)が多く、栄養不足や甲状腺機能異常と関連することがあります。市販薬の多くは「すぐに生える」ことを約束するものではなく、細く弱った毛を太く長く育て抜け毛を減らすことが目的です。エビデンスの強い治療や国内での承認範囲、使用上の注意点を押さえ、副作用や受診のタイミングも確認しましょう。

男性向け市販薬の特徴と選び方

男性の薄毛の多くは、思春期以降に進む「男性型脱毛症(AGA)」です。男性ホルモンに関連した薄毛です。おでこが広がる、頭頂部が薄くなる、といった進行パターンが典型的で、男性ホルモン(DHT)が毛包に作用して毛の生える周期が短くなり、毛が細く短くなっていきます。

市販で「効果がはっきり示されている」外用成分はミノキシジルです。国内では一般用医薬品として男性向けの高濃度5%製剤が流通しており、ミノキシジル外用は太く長い毛の割合を増やし抜け毛を減らす中等度の効果が確認されています[1]

  • 選び方の基本
    • 第一選択:エビデンスの強いミノキシジル外用を軸に検討。剤形は液剤・フォーム(泡)など使いやすさで選ぶ。フォームはプロピレングリコール(PG)非含有で、PGにより刺激が出やすい人に向くことがあります。
    • 製品ごとに表示される対象年齢や用法・用量が異なるため、表示を確認し、禁忌(心疾患、低血圧、頭皮に傷がある等)に該当しないか確認してください
    • 頭皮がしみやすい人:アルコール量やPGの有無を確認し、刺激の少ない製剤やフォームを検討。
    • 香りやベタつきが苦手:無香料・速乾タイプを選ぶ。
    • 敏感肌:まず少量でパッチ的に試し、刺激が強ければ使用中止。頭皮に炎症やかさぶたがある時は使用しない。
  • 使い方のコツ
    • 1日2回または製品表示の指示どおりに頭皮の「地肌」に塗布。髪ではなく地肌に届かせることが重要。
    • 塗布後は少なくとも4時間は洗い流さない。就寝直前の塗布は枕への付着で顔面多毛の原因になり得るため避ける。火気(喫煙や高温器具)に注意。塗布後は手洗いを徹底する。
    • ミノキシジルは「地肌」に、適量を、毎日続ける。塗布後は4時間以上は洗い流さない。
    • 開始後1〜2か月に一時的に抜け毛が増えたように感じる「初期脱毛」が起こることがあります。多くは毛周期移行による一過性で、その後に改善が見られます。過度の持続や明らかな悪化は受診を。
    • 効果の目安は3〜6か月で一定の評価が可能だが、少なくとも6か月〜1年は継続して判断する。中止すると数か月で元の状態に戻ることが多い。
  • 期待できること・限界
    • 太く長い毛の本数の増加、抜け毛の減少が期待できるが、生え際の前進は限定的で、進行が強い場合は単独では十分でないこともある。
  • 副作用と注意
    • 局所:頭皮のかぶれ、かゆみ、フケ様の皮むけ、刺激感。多くは軽度だが、PGが原因の接触皮膚炎もある。
    • 顔の多毛(産毛が濃くなる)。塗布時の顔への付着を避け、手洗いを徹底する。枕や衣類への付着にも注意。
    • 全身症状:まれに血圧低下、動悸、めまいなど。心疾患や低血圧、腎疾患がある人は医師・薬剤師に相談。アルコール含有製剤は可燃性の注意も。

市販の「育毛トニック」やビタミン配合製品は、頭皮環境の改善(清涼感、フケ・かゆみの抑制)を目的とするものが多く、AGAそのものへの発毛効果は限定的です。ミノキシジルが使用可能で病型に合致する場合は、まずはエビデンスの強い外用ミノキシジルを国内の表示に従って検討するのが現実的です。

併用とスイッチの考え方として、開始3〜6か月は同じ製品で様子を見ましょう。効果不十分なら剤形変更や濃度調整を検討(国内承認の範囲で)。頭皮トラブルが続く場合は使用中止し皮膚科へ受診をおすすめします。

男性の受診でできることとして、医師のもとでフィナステリドやデュタステリド内服、ミノキシジル外用との併用が検討できます。長期試験で有効性が示されていますが、副作用(リビドー低下などの性機能障害、PSA低下の解釈への影響など)については処方医と十分に相談する必要があります。

セルフケアの基本

抜け毛を悪化させないためには、生活習慣の見直しがとても大切です。まず、喫煙は頭皮の血流を悪くして毛根の働きにも影響するため、できるだけ控えるようにしましょう。また、睡眠不足や強いストレスは髪の成長を妨げる原因になります。しっかり休養をとり、ストレスをためすぎない工夫も抜け毛対策につながります。

食事面では、たんぱく質や鉄、亜鉛、ビタミンB群やDなど、髪の健康に欠かせない栄養素をバランスよく摂ることが大切です。極端なダイエットは抜け毛を悪化させることがあるため避け、必要に応じて検査で不足していないかを確認してからサプリなどで補うのが安心です。

ヘアケアについても、毎日の積み重ねが影響します。髪や頭皮を強くこすらず、ドライヤーやヘアアイロンの高温に注意しましょう。さらに、髪をきつく束ねるスタイルは牽引性脱毛と呼ばれる抜け毛の原因になるため控えめにし、カラーやパーマの頻度も見直すことが望ましいです。

女性に適した市販薬と注意点

女性は「隠れた病気や栄養問題」を見逃さないことが大切です。女性の脱毛症は姓ホルモンだけで説明ができず一様でないことが特徴です。市販薬で様子を見ると同時に、気になる症状があれば早めに受診しましょう。女性の薄毛は、頭頂部全体が「びまん性」に薄くなる女性型脱毛症(FPHL)が多く、出産・更年期・体重変動・過度なダイエット、鉄欠乏や甲状腺機能の異常などホルモンや栄養の影響を受けやすいのが特徴です。急な増加や全身症状がある場合は内科的精査を検討します。

検査で不足が確認されていないビオチン等のサプリは効果のエビデンスが乏しく、高用量は甲状腺検査や心筋トロポニン検査へ干渉する可能性があること、亜鉛は過量で銅欠乏を招くことがある点にも注意してください。

女性の選択肢として(受診でできること)血液検査(フェリチン、甲状腺、亜鉛など)で原因を探し、必要に応じてこれらの補充療法を行う。外用薬で様子を見るなら妊娠授乳していない条件付きで1%ミノキシジルを使用。

  • 市販での第一選択
    • ミノキシジル外用。男女間でミノキシジルの安全性と有効性の違いが分かっています[1]。国内では女性向けには男性より低い濃度での有効性が確認されているので1%の低濃度製剤が主に流通しており、製品表示に従って選ぶことが重要です。海外では2〜5%の有効性を示す報告もありますが、濃度が高いほど顔面多毛など副作用が増えやすいです。
  • こう選ぶと安全
    • 敏感肌や頭皮炎症がある場合は低濃度・低刺激の剤形(PG非含有フォームなど)から。カラーやパーマ直後は刺激が出やすいため数日空ける。
    • 塗布時に眉やこめかみに付かないよう注意し、塗布後は手洗いを徹底する。妊娠中・授乳中は自己判断での使用は避け、必ず医師・薬剤師に相談。
  • 妊娠・授乳と服薬
    • 妊娠中・授乳中のミノキシジル自己使用は避け、医師に相談する。フィナステリド・デュタステリドの内服は女性では原則禁忌で、妊娠可能な女性は特に厳重な注意が必要。国内で未承認の医薬品は使わないこと。
  • 女性で大切な「原因探し」
    • 急な抜け毛増加、月経異常、だるさや冷え、爪が割れやすいなどがあれば、皮膚科受診して鉄欠乏や甲状腺異常をチェック。血液検査でフェリチン(貯蔵鉄)や甲状腺ホルモン、必要に応じて亜鉛などを確認するとよい場合がある。鉄補充はフェリチン低値などの客観的指標に基づいて行うべきです。
    • 出産後や高熱・感染後のびまん性脱毛は「休止期脱毛」で、多くは数か月〜半年で自然軽快することが多いことを知っておきましょう。
    • 食事制限ダイエット、極端な低たんぱく・低鉄の食事は見直す。必要なら管理栄養士や医師に相談。
  • 育毛トニック・ヘアケア
    • 清涼成分やビタミン、植物エキス配合のローションはかゆみ・フケの軽減や頭皮コンディションの維持に役立つことがあるが、発毛効果は限定的で、ミノキシジルほどのエビデンスはない。
    • 低刺激のシャンプー、ドライヤーの距離・温度調整
    • 牽引性脱毛症の原因になるのでタイトなポニーテールを避けるなどの日常ケアも有効。

成分別の効果と副作用(ミノキシジル・成分配合製品など)

市販の毛髪用薬や育毛剤に入っている代表的な成分について、ポイントをまとめます。

  • ミノキシジル(外用)
    • 作用:毛包の成長期を延長し、毛径(太さ)と本数を増やす。血流改善作用が示唆される。
    • 有効性:男性5%、女性では低濃度1%での使用が一般的です。
    • 副作用:頭皮刺激、接触皮膚炎、顔の多毛、初期脱毛、まれに血圧低下・動悸。心疾患・低血圧がある人や頭皮に傷がある場合は医師に相談。
    • 注意:塗布後は少なくとも4時間洗い流さない。まつ毛・眉毛に使わない。アルコール含有製剤は可燃性に注意。
  • カフェイン、ニコチン酸エステル類、センブリエキス、ビタミン類(パントテニルエチルエーテル、ピリドキシンなど)
    • 作用:頭皮の血行促進、炎症の鎮静、コンディショニングなどが目的。
    • 有効性:爽快感やフケ・かゆみ軽減の実感は得られることがあるが、明確な発毛効果のエビデンスは限定的。
    • 副作用:刺激感、かぶれ。敏感肌はパッチテスト的に少量から。ビオチン等のサプリは検査干渉のリスクを念頭に。
  • アミノ酸・タンパク質系(加水分解ケラチン等)
    • 作用:毛の補修・保湿。髪の見た目・手触りの改善。
    • 限界:毛根への発毛作用は期待しにくい。
  • 亜鉛・鉄などのサプリメント
    • 作用:不足がある場合に限り、抜け毛の改善に寄与する可能性。鉄はフェリチンなどで評価のうえ補充する。
    • 注意:不足がなければ効果は乏しく、過剰摂取は胃腸障害や銅欠乏などを招くため、検査や専門家の指導下で行う。

要点は、「ミノキシジルは発毛に関するエビデンスが比較的確立している」「それ以外の成分は頭皮環境のサポートが中心で効果は限定的」という整理です。複数製品を重ねるより、まずは表示に従ったエビデンスの強いものを正しく継続し、効果不十分や副作用があれば専門家に相談しましょう。

医療機関受診のタイミング

市販薬でできることは多いですが、「受診した方がよい状況」もあります。不安があれば早めに相談しましょう。

まとめ

最後にまとめです。禁忌に該当する基礎疾患が無ければ、エビデンスの強いミノキシジル外用を第一選択として検討します。男女で有効成分濃度に違いがあることに注意してください(男性5%、女性1%)。自己判断での未承認製剤の使用は避け、基礎疾患が多く併用薬が多いなら専門医へ。女性は低刺激のミノキシジル外用+生活習慣の見直しを基本とし、隠れた原因のチェックを優先してください。過度なダイエットが原因になるケースがあるので無理をしないで下さいね。どちらも、焦らず3〜6か月で経過を見て、効果が出てこないとき、辛い副作用が出た時は中止して専門家に相談しましょう。

  1. 眞鍋 求, 坪井 良治, 板見 智, 長田 真一, 天羽 康之, 伊藤 泰介, 他.男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版[ガイドライン][インターネット].日本皮膚科学会;2017年12月20日.日皮会誌.127(13):2763-2777.[参照日:2025年9月23日].利用可能: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
  2. Olsen EA, Dunlap FE, Funicella T, et al. A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil vs. 2% and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. J Am Acad Dermatol. 2002;47(3):377-385.
  3. Kaufman KD, Olsen EA, Whiting D, et al. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 1998;39(4 Pt 1):578-589.
  4. Adil A, Godwin M. The effectiveness of treatments for androgenetic alopecia: A systematic review and meta-analysis. J Am Acad Dermatol. 2017;77(1):136-141.e5.
  5. van Zuuren EJ, Fedorowicz Z, Carter B, Andriolo RB, Schoones J. Interventions for female pattern hair loss. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(5):CD007628. Update in: Cochrane Database Syst Rev. 2016;(5):CD007628.
  6. Trost LB, Bergfeld WF, Calogeras E. The diagnosis and treatment of iron deficiency and its potential relationship to hair loss. J Am Acad Dermatol. 2006;54(5):824-844
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