どの電子お薬手帳がいいのか
電子お薬手帳は各社からリリースされています。結局どれが使いやすいのか、どれが自分に合うのかは非常に情報が少ないので選びずらいと思います。どれも無料ですが、どうせなら使いやすいものがいいですよね。
筆者も電子お薬手帳を使っていましたが本当に使いやすい最新のものが欲しいので気になり調べてみました。現在は様々なものがデジタル化されてスマホ一つで使えるようになっていますが、電子お薬手帳の進化もかなり進んでいます。
シェアの多いものから順にApp Storeからダウンロードしました。自分の持病の治療薬のQRコードを読ませて数社試してみたので感想をまとめました。ちょっと長いですが。
電子お薬手帳まとめ
カテゴリ | お勧め度 | サービス名 | 調剤情報の登録 | ネット接続なしで自分の薬の情報が閲覧できるか? | ユーザー数 | レビュー (App Store) | 評価数 (App Store) | 解説 |
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特化型・次世代 | S | アインお薬手帳+いつでもアイン | 自動連携 or 他社QRコード読み取り | 可 | 不明 | 4/5 | 834 | ご利用薬局としてアイングループの薬局を登録すると、スマート薬局機能(処方せん送付・お薬できあがり呼び出し・お薬リスト提示)が使用できるようになる。一緒にインストールされる”いつでもアイン”アプリのトップ画面からオンライン服薬指導の予約申し込みができる。利用方法の説明も記載されており分かりやすい。薬局からのお知らせも直接届く。一度調剤をうけたら申し込み後は調剤のあいまにも薬剤師とビデオ通話やメッセージで相談できる。アイン薬局はかなり使いやすくなる。一歩進んだ先進的なアプリ。対応:iOS10以上のみ(2018/9/10現在) |
フリーアクセス型 | S | EPARKお薬手帳 | 自動連携(一部) or QRコード読み取り | 可 | 250万 | 4.4/5 | 6.1万 | 2022年2月末時点で、アプリ利用者数が250万人を突破。レビューは高評価。ユーザー目線で普段使いの薬局とセットで利用して利便性がでてくる仕様。見やすい操作画面。処方せんの写真を撮り薬局に送ることで調剤予約ができる。利用できる薬局が多いためどこにいても検索しやすい。待ち時間の短縮につながる。服用時間のお知らせ機能、毎日の血圧管理等の追加機能が豊富。 |
特化型 | A+ | クオールグループ処方せん送信&お薬手帳 | QRコード読み取り | 可 | 不明 | 3.7/5 | 196 | 処方せん送信機能はアイン同様自社のみで、服用アラート、お薬手帳閲覧などの機能も標準的です。レシピ、medicommi、お役立ち情報とそれぞれの項目で医療関連の情報が豊富で、おくすり検索も使いやすい。アプリだけで豊富な情報が手に入り健康管理の知識がなくても色々参考になるかも。アインと比較しより医療情報のアクセスに注力している。クオール楽天市場店にも飛べる。対応:iOS, Android |
特化型・次世代 | A | kakari | QRコード読み取り | 可 | 加盟店1900(2021年9月現在HPより) | 4.5/5 | 1.2万 | 他サービスと異なる「かかりつけ薬局」の利用を前提とした仕様。薬局の検索機能はなく加盟店の検索機能もなし。いつも利用する薬局からチラシや口頭案内によってかかりつけ薬局の登録できる。登録後は処方せん送信、出来上がり通知受け取り、フリーテキストでの薬剤師とのチャット、オンライン服薬指導が受けられる。決済もアプリ上でできる。処方元や施設との連携等医療従事者側から見れば先進的なアプリ。対応:iOS, Android |
特化型・次世代 | A | お薬手帳プラス (日本調剤) | 自動連携 or 他社QRコード読み取り | × | 会員数100万人以上(HPより) | 2.6/5 | 613 | お薬手帳、カレンダー、飲み忘れアラートは標準装備。日本調剤で一度調剤を受けないと本会員登録ができない。本会員になると、家族管理、PC利用、つながる、日本調剤オンラインストアが利用できるようになる。つながる機能は薬局にメッセージを相互にやり取りできるシステム。まだ定型文のやり取りのみ。サービス外の日本調剤オンライン薬局サービスNiCOMSに会員登録して初回ログイン後はオンライン服薬指導システムが使える。多機能だがApp storeの評価は低い。対応:iOS, Android, PCブラウザ版 |
フリーアクセス型 | B | ヘルスケア手帳-待たずにらくらく!便利な電子お薬手帳 | QRコード読み取り | 可 | 50万人以上 | 4/5 | 2060 | お薬登録・服用アラーム・処方せん送信は標準装備。アインお薬手帳と開発元が同じで色違いなだけでほぼ同様に見える。アインのように一社の薬局しか選択できないわけではないが初回登録時に指定した薬局以外に送るときは設定から変更しなければならないので手間。アインの場合はお薬手帳と抱き合わせでもう一つアプリと組み合わせているので利便性ひとつ上になっている。シンプルなものが良い人にはウケる気がする。対応:iOS, Android |
フリーアクセス型 | B | ポケットファーマシー | 自動連携 or QRコード読み取り | × | 不明 | 3.3/5 | 211 | お薬登録・服用アラーム・処方せん送信は標準装備。健康管理画面など追加機能はあまりなく至ってシンプル。アイコンも大きく操作はしやすい。ポケットファーマシー加盟店なら自動登録で快適。加盟薬局も都市部なら不便しない数。アピール不足だが手帳内容は加盟店の薬剤師が閲覧できるようになっている。なかなか使いやすいがApp Storeの評価はイマイチなのが疑問。評価以上の機能はあるというのが私見。アピール不足でもったいない。対応:iOS, Android |
フリーアクセス型 | C | eお薬手帳 | QRコード読み取り | 可 | 不明 | 1.7/5 | 456 | お薬登録・スケジューラ・処方せん送信の三つは標準装備。これと言って特長がなく標準装備以外は特に機能がない。処方せん送信に対応している薬局が少なすぎるので他のアプリに対して優位な点は無い。 |
特化型とフリーアクセス型(勝手に命名)
まずはカテゴリ分けです。数個使って分かったのは大きく二つにグループ分けができることです。
一つは特化型です。
これはアイン薬局、日本調剤、クオールなどの大手薬局が自社ブランドで開発したものです。これは自社の薬局を使ってもらうことが目的で、使い始めるのにそれぞれの店舗をよく行く薬局として登録してから利用開始されるなどの仕様になっていました。
これら特化型の電子お薬手帳を実装している大手薬局を普段かかりつけ薬局として使っているならこの特化型が良いと思います。アプリそのものが一つの薬局を繰り返し使うことを促す仕様です。その分、薬局とのメッセージのやり取りや、オンライン服薬指導などより進んだサービスを提供しようとしています。
アイン薬局はCMを打っていましたが(2022年4月)、オンライン服薬指導が解禁になったので店頭でもより強くこのアプリの推奨があるでしょう。アイン薬局は電子お薬手帳アプリと連携するアプリ内からオンライン服薬指導へつなぐシステムもあり利便性はさらに向上するはずです。
今後大手ブランドの特化型はより使いやすくなると思います。
見過ごせないのがkakariです。これは初期のミクシーに似て加盟店を公表せず薬局主導で患者へ配布します。自分の店をかかりつけ薬局にしてもらう前提でコードをチラシなどでもらい、アプリ内でかかりつけ薬局の登録をしてから全機能が解放されるものです。
大手以外でかかりつけ薬局をココ!と決めておりkakariを導入している店だったら使った方が便利だと思います。
もう一つのカテゴリはフリーアクセス型です。
これは電子お薬手帳としての機能に重点を置いて、いろいろな薬局で使えるようになっている電子お薬手帳です。どこでも使えるので勝手にフリーアクセスと名付けました。
特定の薬局が開発したものではないのでほとんどが調剤された薬の情報取得は薬局が印刷するQRコードの読み取りです。
開発資金の問題か、正直作りがちょっと安っぽいものが多いです。
しかしこれらの中で突出して使いやすいのがEPARKお薬手帳です。
EPARKお薬手帳はもともと美容、飲食、マッサージ、歯科、病院医院などの仲介サイトを運営する会社が作っているのでユーザーの使いやすさを追求している作りになっています。
表に載っているところは全て使いましたがこれが一番使いやすい。かつ見やすいです。
App Storeのレビューと評価数もどのアプリよりもダントツに多いです。
災害時のことを考えるなら携帯にデータが残るものを選んで
電子お薬手帳は普段の使い勝手はもちろん最重要ポイントとして、もう一つ見逃せないのが災害時の備えです。
北海道では2019年に東胆振震災が発生して火力発電所が機能を停止し、北海道全域で電源を喪失しました。停電は順次復旧したものの、復旧までに一日以上かかった地域もありました。
電子お薬手帳の一部はクラウド型のアプリがあります。インターネット通信は停電が長引き一日以上たつと基地局も予備電源が落ちるので使えなくなります。
クラウド型のアプリはもうこの時点以降は使えなくなります。クラウド型の弱点がここで露見するわけです。端末にデータが残るタイプはお薬手帳を忘れて避難しても携帯さえ持っていれば電池が残っているうちは使用できます。
避難先で低電力モードにすぐ切り替えてお薬情報をいつでも誰かに見せられる状態にできます。
はやりのクラウド型であれば何でもよいというわけではありません。クラウドサーバーの所在地も公表されていませんので遠隔地で災害が起きた場合に使用が出来なくなるリスクも無くはないです。
結論:かかりつけ薬局に特化型あればそれでOK、アプリなければEPARK
では、どの電子お薬手帳アプリが良いかというと普段使うかかりつけの薬局が大手ならそこが提供する特化型の電子お薬手帳で良いと思います。多少の差はあれど機能的にはまだ違いはわずかです。2022年度の調剤報酬改定にて規制が緩和されたので、各社さまざまな機能の改良に必ず挑むでしょう。
今実装してほしい機能のリスクエストを送ればむこうもきっと助かると思います。
大手を利用していないのであれば普段よく使う薬局を一か所~三か所に決めておいて、EPARKお薬手帳を使うのがオススメです。そのかかりつけ薬局がEPARKお薬手帳に対応しているのであれば処方せんの送信ができます。受診後に急な移動が必要だったり、後日遠隔地で受け取らなくてはいけない場合等は処方せん送信はかなり薬に立つはずです。