ジェネリック医薬品はいつ薬局で受け取れる?特許切れから使えるまでの流れを解説

ジェネリック医薬品はいつ薬局で受け取れる?特許切れから使えるまでの流れを解説

「先発医薬品の特許が切れたなら、次の日からジェネリック医薬品が薬局に出るのでは?」と思う人は少なくありません。ですが、実際はそんなに単純ではありません。ジェネリック医薬品が実際に薬局で使える時期は、特許が切れた日だけでは決まりません。国の承認、保険診療で使うための価格設定、出荷の準備がそろって、はじめて医療機関や薬局で扱えるようになります。厚生労働省の資料でも、ジェネリック医薬品は「先発医薬品の特許が切れた後に、成分や規格などが同じで、治療上同等であるとして承認される医薬品」と説明されています。[3][4]

つまり、患者にとって大事なのは「特許が切れた日」そのものより、「承認されたか」「保険診療で使うための価格が決まったか」「実際に出荷できる状態か」の3つです。この記事では、この流れを患者目線で順番に整理し、「いつから選べるのか」「薬局でまだないと言われるのはなぜか」を、できるだけやさしく解説します。

ジェネリック医薬品は特許切れのあとすぐ買えるのか

結論からいうと、すぐ買えるとは限りません。特許切れはスタート地点であって、ゴールではないからです。

まず「ジェネリック医薬品」とは、先発医薬品の特許が切れたあとに、先発品と同じ有効成分・同じ規格などをもとに作られ、治療上同等であるとして承認された薬のことです。ここでいう「承認」とは、国がその薬を医療用として販売してよいと認めることです。さらに、承認されたあと、保険診療で広く使われるには、薬価基準に収載され、公的な価格が決まる必要があります。これを行政用語では「薬価収載」といいますが、患者向けに言えば「保険で使うときの薬の値段が公的に決まること」です。承認は「販売してよいか」、薬価収載は「保険診療でいくらで扱うか」という別の手続きです。[4][6]

このため、特許が切れても、まだ承認審査中であれば薬局には並びません。承認されても、薬価基準に収載される前なら、通常の保険診療ではその価格で使えません。さらに、価格が決まったあとも、工場での生産、包装、配送、薬局での採用という段階が残っています。厚生労働省の通知では、後発医薬品を含む新しく価格表に載る品目について、原則として収載後3か月以内に医療機関や薬局への供給を始め、その後も安定して供給することが求められています。[5] ただし、これは近くの薬局にその日までに必ず在庫がある、という意味ではありません。

患者にとってのポイントは、「特許が切れたら自動ですぐ置き換わる」のではなく、「国の承認」「保険診療での価格設定」「供給開始」がそろって初めて、処方や調剤で選びやすくなる、ということです。

なお、ジェネリック医薬品の使用は国の医療費を抑えるだけでなく、患者の自己負担を軽くする目的でも進められています。実際、令和7年に公表された令和6年度の医薬品価格調査の速報では、ジェネリック医薬品が全体の処方のうち何割を占めるかを示す「数量シェア」が約88.8%でした。つまり、すでに多くの場面でジェネリックが使われています。[13] ただし、普及しているからといって、すべての先発品にすぐジェネリックが出るわけではない点は押さえておきましょう。

承認申請から薬価収載までの基本的な流れ

ここからは、特許切れのあとに何が起こるのかを、患者がイメージしやすい順番で見ていきます。

  • 先発医薬品の特許が切れる
  • メーカーがジェネリック医薬品の承認申請を行う
  • 国が品質・有効性・安全性を確認し、承認する
  • メーカーが保険適用を希望し、薬価基準への収載手続きを進める
  • 公的な価格が決まり、薬価基準に載る
  • メーカーが出荷を開始し、医療機関・薬局に流通する

大事なのは、承認と保険診療での価格設定は別の段階だということです。承認は「売ってよいか」の判断、薬価基準への収載は「保険診療でどの価格で扱うか」の判断です。 厚生労働省の基準では、薬価は保険医療機関や保険薬局が薬を提供する際の、品目ごとの公的な価格として定められます。[6]

新しく保険の価格表に載せたいメーカーは、所定の書類を提出します。厚生労働省の通知では、収載を希望する会社は決められた期限までに申請し、後発医薬品についても、原則として収載後3か月以内に供給を始め、その後も安定して届けられることが条件の一つになっています。[5] つまり、「承認は取れたが、まだ十分に供給できない」という状態では、実際に患者へ届くまで時間がかかることがあります。

薬価制度の見直しは定期的に行われており、令和8年度薬価改定は令和8年3月5日(2026年3月5日)に告示され、令和8年4月1日(2026年4月1日)から実施されました。新しい薬価基準も同じく令和8年4月1日(2026年4月1日)から適用されています。[1][12] また、こうした改定後の基準に沿って、新たに収載される薬の価格も決まっていきます。[5][6]

患者にとっては、こうした制度改定の日付そのものを覚える必要はありません。ただ、「病院でジェネリックに変えられると言われたのに、近くの薬局にはまだない」という場面が起こる背景には、こうした公的手続きのタイミング差がある、と知っておくと納得しやすくなります。

さらに、薬価基準に載った薬の一覧や、どの先発品にジェネリックがあるかを示す一覧は、厚生労働省が公表しています。令和8年4月15日適用の一覧では、保険診療で使う医療用医薬品が整理され、内服薬、注射薬、外用薬、歯科用薬剤ごとに示されています。[4] こうした一覧は患者向けの読み物ではありませんが、薬局では「その薬にジェネリックがあるか」「変更できるか」を確認する実務資料として使われています。[3][4]

薬局に並ぶまでに時間がかかる理由

では、なぜここまで時間がかかるのでしょうか。理由は1つではなく、いくつかの段階が積み重なっているからです。

第1に、承認審査が必要です。ジェネリック医薬品は、ただ成分が同じならよいわけではありません。先発品と比べて、成分や規格が同じで、治療上同等であると認められる必要があります。厚生労働省の資料でも、ジェネリックは先発品と成分や規格が同一で、治療学的に同等であるとして承認される医薬品とされています。[3][4]

第2に、保険の価格を決める手続きが必要です。日本では、病院や薬局で保険を使って出す医療用医薬品は、公的な価格表に載っていなければ通常の保険診療で扱いにくくなります。薬価基準への収載は、患者から見ると「保険診療で使うときの値段が正式に決まる手続き」です。ここが終わらないと、医療機関や薬局はその価格を前提に動けません。[6][12]

第3に、供給体制の準備が必要です。工場で作れるか、包装資材はそろっているか、卸売業者を通じてどの地域まで届けられるか、薬局から注文を受けたときに継続して供給できるか、といった準備がいります。厚生労働省は、価格表に載った後発医薬品などについて、原則として収載後3か月以内の供給開始と、その後の継続供給を求めています。[5] ただ、これは企業に求められる供給開始の目安であり、全国すべての薬局の棚に同時に並ぶ、という意味ではありません。

第4に、薬局や医療機関ごとの採用手続きがあります。薬局は、どのジェネリックを何社分そろえるか、安定して仕入れられるか、在庫をどれくらい置くかを考えます。同じ成分でも、錠剤、カプセル、分散錠、シロップなど剤形が違えば、飲みやすさや使い勝手も変わります。厚生労働省も、同じ規格に見えても徐放性などで作用の仕方が異なる場合があり、医療機関や薬局で確認が必要と示しています。[4]

また、国はジェネリックの使用を進める一方で、供給の安定も重視しています。令和8年度薬価改定の概要では、国民負担の軽減と新薬開発の両立に加え、後発医薬品の安定供給確保が制度の重要な柱とされています。[1] 「安いからすぐ広げる」だけではなく、「ちゃんと必要な人に届くか」まで見ているため、流通前の確認に時間がかかるのです。

患者目線でいうと、ある薬のジェネリックが制度上は存在していても、近所の薬局ではまだ採用していないことがあります。採用品目でも一時的に在庫がなければ、取り寄せになることがあります。 反対に、病院の院内処方ではすでに採用されていても、外来患者が行く保険薬局ではまだ切り替わっていないこともあります。これは制度の遅れというより、供給と在庫の現実的な差です。

ジェネリックを選ぶ前に知っておきたいポイント

最後に、患者が実際にジェネリックを選ぶときに知っておきたい点を整理します。

まず、ジェネリックは「先発品より劣る薬」という意味ではありません。厚生労働省は、先発品と成分や規格が同じで、治療上同等と認められたものとして位置づけています。[3][4] ただし、添加物、錠剤の大きさ、味、包装、飲み心地などは同じとは限りません。そのため、飲み込みやすさや使いやすさで合う・合わないが出ることがあります。気になるときは、遠慮なく薬剤師に相談してください。

次に、ジェネリックがある薬でも、先発品が選ばれる場合があります。長期収載品では、患者が自分の希望で先発品を選ぶと、通常の自己負担とは別に「特別の料金」がかかることがあります。 これは「選定療養」と呼ばれる仕組みで、患者が希望して先発品を選ぶ場合の追加負担をわかりやすくしたものです。長期収載品、つまりジェネリックがあるのに長く先発品として残っている薬については、令和6年10月1日(2024年10月1日)から処方箋の様式が見直され、患者希望か医療上必要かを区別しやすくなりました。[15]

この特別の料金の対象品目や負担の考え方は、制度の見直しや対象リストの更新にあわせて確認が必要です。実際に窓口でいくらになるかは、受診した時点の最新リストや薬局の案内で確かめるのが確実です。診察料や調剤料まで一律に増えるという話ではなく、主に薬そのものについての追加負担が問題になります。[15][16] そのため、「何となく先発品が安心そう」で選ぶ前に、薬剤師に違いを確認する意味は大きいです。

患者が薬局でできることは、実はとてもシンプルです。

  • 「この薬にジェネリックはありますか」と確認する
  • 「今日もらえるのか、取り寄せなのか」を聞く
  • 大きさ、味、飲みやすさ、自己負担額の違いを相談する
  • 先発品を希望する場合は追加負担の有無を確認する

薬剤師や医療機関の側では、どの薬にジェネリックがあるか、変更できるか、選定療養の対象か、最新の価格表や対象リストで確認しながら対応しています。令和8年4月15日適用の一覧でも、先発品、ジェネリック、変更の判断に使う区分が整理され、薬局での説明や事務の参考資料として使うことが示されています。[4] つまり、患者が窓口で聞いている疑問は、薬局でも公的資料を見ながら丁寧に確認している内容なのです。

まとめると、ジェネリック医薬品は特許切れのあと、すぐ自動的に薬局へ並ぶわけではありません。承認申請、審査、保険診療での価格設定、流通準備、薬局での採用という段階を経て、ようやく患者の手元に届きます。制度上の大きな節目としては、令和8年度の薬価改定と新薬価基準が令和8年4月1日(2026年4月1日)から実施・適用されました。[1][12] また、長期収載品の選定療養は令和6年10月1日(2024年10月1日)から運用されており、対象品目などは受診時点の最新リストで確認する必要があります。[15][16]

もし薬局で「まだジェネリックが入っていません」と言われても、それは不自然なことではありません。制度と流通にはどうしても時間差があります。気になるときは、「いつ入るか」「取り寄せできるか」「ほかの選択肢はあるか」を薬剤師に聞いてみてください。それが、いちばん現実的で安心できる行動です。

  1. [1] 厚生労働省 (2026). 令和8年度薬価改定の概要. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686059.pdf (Accessed: 2026-05-03)
  2. [3] 厚生労働省 (2025). 薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和7年3月31日まで). Available from: https://www.mhlw.go.jp/topics/2025/04/tp20250401-01.html (Accessed: 2026-05-03)
  3. [4] 厚生労働省 (2026). 薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年4月1日適用). Available from: https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html (Accessed: 2026-05-03)
  4. [5] 厚生労働省 (2026). 医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて. Available from: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9740&dataType=1&pageNo=1 (Accessed: 2026-05-03)
  5. [6] 厚生労働省 (2026). 薬価算定の基準について(後発医薬品関連抜粋). Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001667916.pdf (Accessed: 2026-05-03)
  6. [12] 厚生労働省 (2026). 薬価基準収載品目一覧(令和8年度). Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665198.pdf (Accessed: 2026-05-03)
  7. [13] 厚生労働省 (2024). 医薬品価格調査(令和6年度)結果の概要. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001603502.pdf (Accessed: 2026-05-03)
  8. [15] 厚生労働省 (2024). 処方箋による調剤と選定療養の手順. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf (Accessed: 2026-05-03)
  9. [16] 厚生労働省 (2024). 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html (Accessed: 2026-05-03)

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