プールの後に目が充血・かゆい——アレルギー性結膜炎と感染性結膜炎の見分け方

プールの後に目が充血・かゆい——アレルギー性結膜炎と感染性結膜炎の見分け方

【結論】症状の組み合わせで見極める

赤みの濃さでなく、痛み・まぶしさ・目やにの性状を総合判断すべきため

  • 小児感染性結膜炎の試験で7日治癒率はプラセボ83%、抗菌薬86%と大差なし。ステロイド点眼は眼圧10mmHg以上上昇の報告あり
  • 薬局では発症時刻・片目か両目か・目やにの色・痛み・レンズ使用等を確認し、市販薬適否と受診要否を判断する
  • 目をこすらずレンズを外し、強い痛み・まぶしさ・視力低下・粘る目やにがあれば当日中に眼科を受診する

プールから帰った後、「目が赤いし、こすると気持ちよいほどかゆい」と感じることがあります。ただし、プール後に症状が出たからといって、そのプールで感染したとは限りません。水や消毒成分による刺激は比較的早く出る一方、すでにあったアレルギーや感染の症状が、水や目をこする刺激で目立つこともあります。

翌朝に目やにでまぶたが開けにくい、片目だけ赤みが強い、光がつらいといった変化があれば、単なる水の刺激とは限りません。目の充血は見た目が似ていても、原因によって避ける行動や、受診を急ぐ程度が変わります。

特に注意したいのは、「かゆいからアレルギー」「目やにがあるから細菌」と、一つの症状だけで決めることです。アレルギー、ウイルス、細菌、消毒成分などの刺激では、症状が重なることがあります。結膜炎は、白目やまぶたの裏を覆う結膜に炎症が起きた状態です。人にうつりやすいものや、角膜(黒目の表面を覆う透明な組織)に影響して見え方に関わるものもあります。

プールに入ったことは原因を考える手がかりにはなりますが、それだけで診断はできません。症状が始まった時刻、両目か片目か、涙か目やにか、痛みやまぶしさがあるかを順に確かめるほうが安全です。MogiMed編集部の見解では、赤みを早く消すことより、「危険な赤い目を見逃さないこと」を最初の目的に置くべきです。

プール後に目が充血・かゆい原因:アレルギー性結膜炎と感染性結膜炎の特徴

プール後に目が赤くなる理由には、水中の消毒成分や汚れによる刺激、ゴーグルの圧迫、目をこする刺激などがあります。こうした刺激では、しみる感じ、軽い赤み、涙目が短時間で出ることがあります。水から上がって間もなく症状が出て、目を休めると落ち着くなら、一時的な刺激の可能性があります。ただし、症状の経過だけで安心しきることはできません。

アレルギー性結膜炎は、花粉、ハウスダスト、動物の毛などのアレルゲン(アレルギー反応を起こす原因物質)に対するⅠ型アレルギー(IgEという抗体が関わる反応)と関連する結膜の炎症です。代表的な症状は、目のかゆみ、充血、涙です。診察では、結膜の充血や腫れ、濾胞、乳頭と呼ばれる表面の変化も確認されます。[8]

アレルギー性結膜炎では、何度も触りたくなるようなかゆみが目立ちやすく、両目に出ることが多い傾向があります。鼻水やくしゃみなど、アレルギー性鼻炎の症状を伴う場合もあります。透明でさらさらした涙が増えることはありますが、黄色や緑色で粘り気の強い目やにが主な症状ではありません。プールの水が引き金に見えても、その時期の花粉や室内のアレルゲンが背景にあり、水の刺激で症状が表に出た可能性もあります。

一方、感染性結膜炎は、細菌やウイルスなどによる結膜の感染です。細菌性結膜炎では、膿を含むような粘り気のある目やに、朝のまぶたの固着、結膜全体の強い赤みがあると、細菌が原因である可能性が高まります。反対に、朝に目がくっつかないことは、細菌性の可能性を下げる手がかりです。[13]

ただし、目やにだけで感染を確定することはできません。涙でも乾けば目頭にたまり、アレルギーでもこすった刺激で分泌物が増えることがあります。診断では、症状だけでなく、眼科で角膜の状態、まぶたの裏、左右差、視力などを合わせて確認します。自宅では「どんな色か」「水っぽいか粘るか」「朝に開けにくいか」を記録しておくと、受診時の説明に役立ちます。

ウイルス性結膜炎の一部には、流行性角結膜炎(アデノウイルスが主な原因で、感染力が強い結膜炎)があります。水っぽい目やに、強い充血、まぶしさを伴うことがあり、角膜や結膜の瘢痕化などが長く残る場合もあります。病気の経過を変えられる薬については十分な合意がなく、症状を和らげながら回復を待つ治療が中心となることもあります。[10]

プール後の充血やかゆみで最も見逃したくないのは、かゆみよりも痛み、まぶしさ、見えにくさが目立つ状態です。普段の室内光でもまぶしくて目を開けにくい場合や、瞳孔の大きさに明らかな左右差がある場合は、結膜炎以外の重い眼疾患を示す手がかりになることがあります。[13]

臨床現場では、赤い目に対して「コンタクトレンズを使っているか」「片目から始まったか」「同居家族や学校で似た症状があるか」「視界がかすむか」を確認します。これは原因を一つに決めるためだけではありません。角膜炎(角膜の炎症)やぶどう膜炎(虹彩など目の内部に炎症が起こる病気)など、結膜炎との区別が必要な状態を見つけるためです。

なお、アレルギー性結膜疾患には、一般的なアレルギー性結膜炎だけでなく、春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎といった病型があります。春季カタルでは大きな乳頭や角膜びらん、角膜潰瘍を伴うことがあり、異物感、眼痛、羞明が起こり得ます。[8]「毎年のかゆみ」と思っていても、痛みや見えにくさが加わった場合は、同じ対処を繰り返さず眼科で確認してください。臨床現場では、症状の組み合わせと経過を聞くことが、見逃しを減らす第一歩です。

目がかゆい・赤いときに今すぐできる対処法と避けたいこと

水から上がった後に軽い赤みやかゆみが出たら、まずはコンタクトレンズを外してください。レンズを着けたまま目をこすると、結膜だけでなく角膜にも負担がかかります。外した後は再装用せず、症状がある間は眼鏡に替えるほうが安全です。

コンタクトレンズ使用中に赤みと痛み、まぶしさ、異物感、見えにくさ、黒目の白い濁りがある場合は、当日中の眼科受診を優先してください。受診する場合は、可能であれば使用していたレンズとケースを洗浄・廃棄せず、そのまま持参します。使い捨てレンズも、医療機関で確認が必要になる可能性があるためです。

目をこすらないことは、単なる我慢ではありません。かゆみがあると、こする刺激で結膜の炎症が強くなり、赤みや腫れを悪化させることがあります。爪でこすったり、タオルで強く拭いたりすると、目の表面を傷つけるおそれもあります。目頭にたまった涙や分泌物は、清潔なティッシュなどでそっと押さえて取ります。

冷やした清潔なタオルを閉じたまぶたの上に短時間当てると、かゆみや熱感が和らぐことがあります。ただし、氷を直接当てる、強く押す、同じタオルを家族と共用する行為は避けてください。感染性結膜炎の可能性があるときは、タオルを介して家族に広がることを防ぐ配慮が必要です。

  • コンタクトレンズを外し、症状がある間は再装用しない。
  • 手を石けんと流水で洗い、目をこすらない。
  • タオル、洗面器、枕カバー、目薬を家族と共用しない。
  • 強い痛み、まぶしさ、視力低下があれば当日中に眼科へ相談する。

洗眼は状況で対応が異なります。通常のプール利用後に軽い刺激感があるだけなら、何度も洗ったり、強い水流を目に当て続けたりする必要はありません。一方、濃縮された塩素系消毒薬などの化学物質が目に入った場合は別です。すぐに清潔な流水で十分に洗い始め、洗浄を遅らせず医療機関へ相談してください。

家にある抗菌目薬、ステロイド点眼薬(炎症を強く抑える薬)、家族の処方薬を流用することは避けましょう。抗菌薬は細菌に対する薬であり、アレルギー性やウイルス性の結膜炎に同じように使う薬ではありません。小児の診療所で、臨床的に急性感染性結膜炎と診断された患者を対象にした試験では、7日目の治癒率はプラセボ群83%、クロラムフェニコール点眼群86%でした。[12]

この結果は、すべての赤い目に抗菌目薬が必要とはいえないことを示します。ただし、細菌性と確定したすべての人、成人、コンタクトレンズ使用者、角膜に病変がある人に、そのまま当てはめることはできません。薬の要否は、目やにの性状、角膜の状態、年齢、コンタクトレンズ使用などを踏まえて判断します。

ステロイド点眼薬は、強い炎症を抑えるために眼科で選ばれることがありますが、自己判断で始める薬ではありません。アレルギー性結膜炎に対するロテプレドノールのメタ解析では、症状・所見の改善が示された一方、眼圧(目の中の圧力)が10mmHg以上上がる臨床的に重要な上昇は、対照群より多くみられました。[19]眼圧上昇は自分では気づきにくく、感染の種類によっては問題になる場合もあるため、処方意図のない使用は危険です。

臨床現場では、冷やす方法や洗眼より先に、痛みと視力の変化を確認します。夜中に目が覚めるほど痛い、片目だけ急に見えにくい、電灯がにじんでつらいときは、翌日まで様子を見る場面ではありません。時間外なら、地域の救急相談や眼科救急も利用してください。

市販の目薬は使ってよい?薬局・薬剤師に相談する目安

市販の目薬には、かゆみを抑える抗ヒスタミン成分(ヒスタミンというかゆみの原因物質の働きを抑える成分)、アレルギー反応を抑える成分、充血を一時的に抑える成分などがあります。アレルギー性結膜炎に対しては、抗アレルギー点眼薬が治療の基本とされ、重症度に応じてステロイド点眼薬などが選ばれます。[8]

ただし、市販薬を「プール後の赤い目なら何でも使える薬」と考えないでください。かゆみが中心で、痛みや見えにくさがなく、粘り気の強い目やにがなく、以前にも同様のアレルギー症状がある場合は、薬剤師に症状を伝えたうえで選択肢を検討できます。

点眼薬は、成分だけでなく、対象年齢、使用回数、コンタクトレンズを外す必要があるか、他の点眼薬との間隔も確認が必要です。アレルギー性結膜炎を対象にした研究では、抗ヒスタミン薬と肥満細胞安定化薬(アレルギー反応に関わる肥満細胞からの物質放出を抑える薬)は、いずれもプラセボより症状改善に役立つことが示されています。一方で、どちらか一方が常に優れていると結論づける根拠は十分ではなく、使いやすさ、点眼回数、費用、本人の希望も選択に関わります。[6]

充血を一時的に目立たなくする血管収縮成分は、アレルギーや感染そのものを治す薬ではありません。見た目の赤みを消す目的で漫然と使うと、原因の評価が遅れたり、充血が分かりにくくなったりするおそれがあります。市販薬を使っても改善しない、使用中に悪化する、または添付文書の使用期間を超えそうな場合は、続けずに眼科へ相談してください。

薬局では、いつ症状が始まったか、片目か両目か、目やにの色、痛み、まぶしさ、見え方、コンタクトレンズの使用、子どもの年齢、妊娠・授乳中か、使っている目薬や内服薬を伝えてください。薬剤師は、受診を優先すべき状態か、市販薬を使う場合の注意点は何かを一緒に確認できます。

次のような場合は、市販薬だけで済ませず、眼科受診を優先してください。

  • 強い眼痛、普段の光でも目を開けにくいまぶしさ、急な視力低下、黒目の白い濁りがある。
  • 黄色や緑色の粘る目やにが多い、まぶたが強く腫れる、朝に目が開かない。
  • 片目から始まり、数日で反対の目にも強い充血や涙が出た。
  • コンタクトレンズ使用中に赤み、痛み、異物感、見えにくさが起きた。
  • 乳幼児、高齢者、目の手術後、免疫を抑える治療中である。

特に、普段の光でもまぶしくてつらい症状は重要です。赤い目の診察に関する系統的レビューでは、光で誘発される羞明は重い眼疾患を示す有用な所見とされました。[13]「かゆみもあるからアレルギーだろう」と打ち消さず、痛みや光のつらさがあれば受診につなげてください。

アレルギー性鼻炎もあり、毎年目の症状が強く生活に支障が出る場合は、眼科やアレルギーを診る医療機関で治療計画を相談する価値があります。アレルゲン免疫療法(原因アレルゲンを少量から投与し、反応を変えていく治療)は、アレルギー性鼻結膜炎に対する治療選択肢の一つです。舌下免疫療法では、無治療・プラセボと比べて眼症状スコアの低下が示されましたが、点眼薬使用量の有意な減少は示されませんでした。[20]

これは、つらい目の症状があるすべての人に免疫療法が必要という意味ではありません。原因アレルゲン、症状の季節性、鼻症状、治療を続けられるかなどを踏まえ、個別に判断します。毎年同じ時期にプール後の症状が目立つなら、プールだけを原因と決めず、季節性アレルギーの可能性も医療者に伝えるとよいでしょう。MogiMed編集部の見解では、市販薬を選ぶ前に「市販薬で様子を見てよい条件か」を確認することが最も大切です。

プール後の目の充血とかゆみは症状を見極め、必要に応じて受診を

プール後に目が赤くなったら、赤みの濃さではなく、かゆみ、涙、目やに、痛み、まぶしさ、見え方の組み合わせを確認しましょう。かゆみと涙が中心ならアレルギー性結膜炎や刺激を考えますが、それだけで断定はできません。粘る目やに、朝のまぶたの固着、結膜全体の赤みは、細菌性を考える手がかりになります。[13]

感染性結膜炎が疑われるなら、目薬やタオルの共用を避け、手洗いを丁寧にしてください。特にアデノウイルスによる流行性角結膜炎は感染性が高く、医療施設などで集団発生と関連した報告もあります。[10]強い充血や目やにがあり、感染性結膜炎が疑われる間は、周囲に広げないためプール利用も控えましょう。再開時期は自己判断で決めず、診断した医師の指示や学校・施設の規定に従います。

一方で、赤い目のすべてに抗菌薬は必要ではありません。急性の感染性結膜炎は自然に改善する例もあり、小児の診療所で行われた試験でも、多くは抗菌薬なしで改善しました。[12]だからこそ、余っている抗菌目薬を自己判断で使うより、症状に合った判断を受けることが大切です。

臨床現場では、「プールのせいだと思っていたら、実はコンタクトレンズ関連のトラブルや強いアレルギーだった」という場面があります。特に、黒目の痛み、光への弱さ、視界のかすみは、結膜だけの問題と決めつけないための重要なサインです。受診時には、プールに入った日時、ゴーグルの使用、症状が出た順番、市販薬の使用歴を伝えてください。

プールの後に目が充血・かゆいときは、目をこすらず、コンタクトレンズを外し、清潔を保ちながら経過を見ます。そして、強い痛み、まぶしさ、見えにくさ、粘る目やに、強い腫れがあれば、当日中に眼科へ向かう。この見分け方が、目を守りながら不要な自己治療を避ける現実的な方法です。MogiMed編集部では、プール後という出来事だけで原因を決めず、危険な症状を優先して見分けることを勧めます。

  1. [6] Owen C. et al. (2004). Topical treatments for seasonal allergic conjunctivitis: systematic review and meta-analysis of efficacy and effectiveness. The British Journal of General Practice. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15186569/ (Accessed: 2026-07-26)
  2. [8] Miyazaki D. et al. (2020). Japanese guidelines for allergic conjunctival diseases 2020. Allergology International. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33211650/ (Accessed: 2026-07-26)
  3. [10] Liu S. et al. (2022). Topical pharmacologic interventions versus placebo for epidemic keratoconjunctivitis. Cochrane Database of Systematic Reviews. Available from: https://doi.org/10.1002/14651858.cd013520.pub2 (Accessed: 2026-07-26)
  4. [12] Rose P. et al. (2005). Chloramphenicol treatment for acute infective conjunctivitis in children in primary care: a randomised double-blind placebo-controlled trial. The Lancet. Available from: https://doi.org/10.1016/s0140-6736(05)66709-8 (Accessed: 2026-07-26)
  5. [13] Narayana S. et al. (2015). Bedside Diagnosis of the 'Red Eye': A Systematic Review. The American Journal of Medicine. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26169885/ (Accessed: 2026-07-26)
  6. [19] Wu L. et al. (2015). Loteprednol etabonate in the treatment of allergic conjunctivitis: a meta-analysis. Current Medical Research and Opinion. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26039179/ (Accessed: 2026-07-26)
  7. [20] Calderon M. et al. (2011). Sublingual immunotherapy for allergic conjunctivitis: Cochrane systematic review and meta-analysis. Clinical and Experimental Allergy. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21848759/ (Accessed: 2026-07-26)
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