汗が目にしみる・コンタクトが乾く夏——ドライアイ対策の点眼薬選び

汗が目にしみる・コンタクトが乾く夏——ドライアイ対策の点眼薬選び

【結論】原因とレンズ場面で選ぶ

夏は汗・冷房・レンズ等が重なり乾きの原因が多様化するため

  • 日使い捨てレンズ使用者89人の試験で潤滑点眼薬使用群は夕方の快適さ改善、乾きの自覚も減少
  • 薬剤師は防腐剤やレンズ装用中の使用可否を成分名だけでなく製品名で確認し判断する
  • 症状が出る時間帯・レンズとの関係・点眼後の変化をメモし、薬剤師や眼科に具体的に伝える

夕方になるとコンタクトレンズが張り付くように感じる。汗が目に入り、洗い流したいほどしみる。冷房の風が当たる席では、まばたきのたびに目がごろごろする。夏の目の不調は「汗が入っただけ」と思われがちです。しかし、汗を拭いても乾きが続くなら、涙の状態やコンタクトレンズとの相性も見直す必要があります。

大切なのは、目が乾くことと涙が少ないことは、必ずしも同じではない点です。涙は目の表面を覆う薄い膜で、目をなめらかに動かし、見え方を保つ役目があります。この膜が不安定になると、涙が出ているように見えても、目の表面では乾きや刺激が起こります。ドライアイでは、涙液層の不安定さなどによって、不快感や眼表面のトラブルが起こることがあります。[2]

夜中に目が覚めて目薬をさしたり、医師に「コンタクトを減らした方がよいですか」と聞けなかったりするなら、症状が出る場面を分けて考えてください。夜間の点眼が繰り返される、日中の生活に支障が出る、点眼しても改善しない場合は、症状の記録を持って眼科へ相談しましょう。汗、冷房、レンズ、花粉やほこり、睡眠不足などが重なると、同じ「しみる」でも必要な対応は変わります。

夏に目がしみる・コンタクトが乾く主な原因

夏は高温の屋外と冷房の効いた室内を行き来しやすく、目の周りの環境が短時間で変わります。汗そのものが目に入れば、塩分などの刺激で一時的にしみることがあります。ただし、繰り返すしみる感覚を汗だけの影響と考えると、ドライアイ、アレルギー、コンタクトレンズによる刺激など、ほかの原因を見逃すことがあります。目の表面が乾いて傷つきやすい状態では、汗、風、点眼時の刺激などを普段より強く感じることがあります。

ドライアイには、涙を作る量が減るタイプと、涙が蒸発しやすいタイプがあります。前者は水分の多い涙が不足する状態で、後者は涙を保つ膜が安定しにくい状態です。両方が重なることもあります。治療を選ぶ際には、涙の量が少ないのか、蒸発が中心なのかを区別することが重要だと報告されています。[2] 自分では見分けにくいため、長引く場合は眼科で確認する意味があります。

冷房の風が顔に直接当たると、涙は蒸発しやすくなります。また、スマートフォンやパソコンを見る時間が長いと、まばたきが減ったり浅くなったりしがちです。まばたきは涙を目の表面に広げる動きです。冷房の風と画面作業が重なる午後にだけ乾くなら、病気の悪化だけでなく、環境やまばたきの影響を考える手がかりになります。

コンタクトレンズは涙液層の中にあり、レンズ前面と後面の涙の広がりや安定性に影響します。そのため、装用時間、レンズの種類、まばたき、空調などが重なると、乾きや異物感が強くなることがあります。コンタクトレンズの不快感は、装用中の異物感、乾き、見えにくさなどが続き、装用時間の短縮や装用中止につながる状態として定義されています。結膜の充血、角膜や結膜の染色、まばたきの変化、まぶたの縁にあるマイボーム腺の機能低下などが関係することがあります。[11]

朝は平気でも、夕方だけレンズが乾く場合は、レンズの汚れだけが原因とは限りません。装用時間が長いこと、空調、画面作業、レンズの素材や交換期限、もともとのドライアイが少しずつ重なった結果かもしれません。レンズを外すと楽になるからといって、角膜に問題がないとは判断できません。

かゆみが主で、白目が赤く、涙が多い場合には、アレルギー性結膜疾患も考えられます。アレルギー性結膜疾患は、アレルゲンに対するI型アレルギー反応が主に関わる結膜の炎症で、かゆみ、充血、流涙が代表的な症状です。[18] 乾き対策の点眼薬だけでは、かゆみの原因に合わないことがあります。

汗、冷房、レンズのどれで症状が強くなるかを分けて考えると、必要な対策を選びやすくなります。 臨床現場では、「乾く」と話す人でも、診察では炎症、アレルギー、まぶたの状態、レンズによる刺激など、複数の要素が見つかることがあります。MogiMed編集部の見解では、夏のしみる感覚は単純な水分不足と決めつけず、いつ、どこで、レンズを付けている時に起こるかを記録することが、点眼薬選びの近道です。

今すぐできる夏のドライアイ対策とコンタクトのケア

目薬を増やす前に、目を乾かす条件を減らすことで、刺激を抑えられることがあります。冷房の風向きを変える、送風口の真下を避ける、画面を見る時に意識してゆっくりまばたきをする、といった工夫は薬を使わずにできる対策です。汗を拭く時は、目の中をこすらず、清潔なタオルで目の周りを押さえるようにします。

汗だけでなく、日焼け止め、化粧品、虫よけ剤などが目に入ることもあります。このような物が入った時は、こすらず清潔な流水で洗い流してください。洗った後も痛み、強い充血、見えにくさが続く場合は、眼科を受診します。

コンタクトレンズを使う日は、装用時間を無理に延ばさないことが基本です。乾き、痛み、赤みが出たまま使い続けると、症状の原因を確かめにくくなります。コンタクト装用中に強い痛み、まぶしさ、視力低下、片目だけの強い充血が出た場合は、レンズを直ちに外し、その日は再装用せず、速やかに眼科を受診してください。 多量の目やにや、レンズを外しても続く痛みも受診の目安です。結膜炎には感染性を含む複数の原因があり、診断に応じた対応が必要です。[13]

一般的に取り入れやすい工夫として、次の点があります。

  • エアコンの風を目に直接当てず、室内で乾きを感じたら席や風向きを変える。
  • コンタクトレンズは決められた交換時期を守り、洗浄・保存が必要な種類は指定されたケア用品を使う。
  • 乾きや違和感が強い日は、可能なら眼鏡へ切り替え、目を休ませる時間を作る。

「レンズの上から使える」と表示された点眼薬だけを使うことも大切です。コンタクト装用中に使えるかどうかは、製品ごとに異なります。ソフトコンタクトレンズ装用中には使用できない点眼薬もあります。成分名だけで自己判断せず、箱、添付文書、店頭の説明にある使用可否を確認し、判断が難しければ薬剤師に製品名を見せてください。

コンタクトレンズ関連の乾きに対する潤滑点眼薬については、日使い捨てソフトレンズ使用者89人を対象にした2週間の無作為化比較試験で、装用前と取り外し後に潤滑点眼薬を使った群は、対照群と比べて一日の終わりの快適さが改善し、乾きの自覚も減少しました。[7] ただし、これは特定の製品・使い方・日使い捨てレンズを対象にした結果です。すべてのレンズやすべての乾きに同じ効果があるとは限りません。

潤滑点眼薬の効果を調べたレビューでは、成人のコンタクトレンズ使用者を対象にした試験は7件、合計463人でした。試験期間は1〜4週間で、研究ごとの方法や結果に差があり、効果と安全性について明確な結論を出すには限界があるとされています。[11] この点は、「点眼薬をさせばレンズの不調は必ず解決する」と考えない理由になります。

レンズが乾くと、つい何度も点眼して装用を続けたくなるかもしれません。しかし、頻回に点眼しても改善しない場合は、点眼回数を増やすより、レンズを外す判断が大切です。装用したまま耐えることが、目を守る行動になるとは限りません。

臨床現場では、乾きのためにレンズを長時間使えない人ほど、「どの時間帯からつらいか」「点眼後に何分楽か」「レンズを外すと症状が消えるか」を確認します。MogiMed編集部の見解では、この三つをメモして受診時に伝えると、レンズの問題、ドライアイ、アレルギーを切り分ける助けになります。

夏のドライアイに合う点眼薬の選び方

点眼薬は「乾き目用」という大きな表示だけで選ばないことが重要です。まず、コンタクトレンズを付けたまま使うか、外して使うかを決めます。次に、主な症状が乾き、異物感、かゆみ、充血、痛みのどれかを整理します。乾きが中心なら、涙を補ったり、目の表面をうるおしたりする製品が候補になります。

人工涙液や潤滑点眼薬は、涙を補ったり、目の表面の摩擦感や乾いた感じを和らげたりする目的で使われます。ただし、両者の呼び方や製品区分は一部重なります。成分、粘度、添加物、使用できる回数、コンタクトレンズ装用中に使えるかどうかは製品ごとに異なります。「目が乾く」という同じ訴えでも、レンズの上から使う製品と、レンズを外して使う製品を混同しないでください。

防腐剤も確認したい項目です。防腐剤は、容器内で細菌が増えることを防ぐために使われる成分です。防腐剤の有無だけで、すべての人にとっての良し悪しは決まりません。緑内障または高眼圧症の点眼薬を対象にした系統的レビューでは、ベンザルコニウム塩化物を含む製品と、別の防腐剤製品または防腐剤なし製品との間で、眼圧を下げる効果や安全性に臨床的に明確な差は示せなかった一方、安全性には不確実性も残るとされました。[12]

この研究はドライアイ用点眼薬そのものではなく、緑内障・高眼圧症の人を対象にしています。そのため、「防腐剤入りは必ず目に悪い」「防腐剤なしなら必ず優れている」と断定する根拠にはなりません。ただ、複数の点眼薬を使っている人、頻回に使う人、刺激が気になる人は、防腐剤の有無を薬剤師や眼科医と確認する価値があります。

市販点眼薬を選ぶ際は、次の順で確認すると混乱しにくくなります。

  • ソフト・ハードを含め、使っているコンタクトレンズの種類と、装用中に点眼できる表示があるか。
  • 乾きが中心か、かゆみ・強い充血・痛み・多量の目やにがあるか。
  • 他の目薬を使っているか、点眼後にしみるか、1日に何回必要になるか。

かゆみが中心なら、アレルギーへの治療が必要な可能性があります。日本のガイドラインでは、アレルギー性結膜疾患の第一選択薬は抗アレルギー点眼薬とされ、重症度に応じてステロイド点眼薬などが選択されます。[18] ステロイド点眼薬は自己判断で使い始めたり、以前の残りを使ったりする薬ではありません。炎症の原因や角膜の状態によっては、適切でない場合があります。

乾きが続き、眼科で炎症を伴うドライアイと診断された場合には、処方薬が検討されることがあります。海外の臨床試験を中心としたメタ解析では、シクロスポリン点眼薬は人工涙液と比べ、涙液層破壊時間、角膜染色、症状評価指標の改善を示しました。ただし、有害事象は人工涙液より多く、重い有害事象は報告されませんでした。[10]

ここでいう涙液層破壊時間は、まばたき後に涙の膜が乱れるまでの時間です。角膜染色は、染色液を使って目の表面の傷つきやすい部分を確認する検査です。シクロスポリン点眼薬で使用できる製剤や承認された適応は国・地域で異なるため、日本での治療は眼科医が診断と国内の承認状況を踏まえて判断します。 点眼直後のしみる感覚などが出ることもあるため、自己判断で中断・変更せず、処方元に相談してください。

涙点プラグという、涙の出口をふさいで涙を目に残りやすくする処置が検討されることもあります。涙点は涙が鼻へ流れる入口です。システマティックレビューでは、プラグと経過観察を比べた一部の試験で乾きの改善が見られた一方、全体として症状や所見への有効性は結論が出ていないと評価されています。[9] 夏の乾きだけで直ちに必要になる処置ではなく、眼科で原因と重症度を見たうえで考えるものです。

臨床現場では、赤みを目立たなくすることを主目的にした点眼薬を、乾き対策として長く使い続けている例もあります。赤みを取る点眼薬は、乾きや炎症の原因そのものに合うとは限りません。MogiMed編集部の見解では、「コンタクト中に使える乾き目用を探している」「点眼しても夕方に見えにくい」「かゆみもある」と具体的に伝えることが、薬剤師が安全な製品を選ぶための最も有用な情報です。

まとめ:原因と使用場面に合った点眼薬で夏の目を守る

夏の目のしみる感覚は、汗だけで起こるとは限りません。冷房の風、まばたきの減少、涙の蒸発、コンタクトレンズの装用時間、アレルギーなどが重なると、乾きや異物感は強くなります。特に、朝は問題なく夕方にだけつらい場合、生活環境とレンズ装用の影響が隠れていることがあります。

人工涙液や潤滑点眼薬は、乾きへの基本的な選択肢です。ただし、コンタクトレンズ装用中に使えるかは製品ごとに異なります。レンズの種類、症状、点眼の頻度、他に使っている目薬を確認して選びましょう。頻回に使っても改善しない、レンズを外しても痛い、まぶしい、視力が下がる、強い充血や多量の目やにがある場合は、自己判断で点眼薬を替え続けず、眼科へ相談してください。

汗が目にしみる・コンタクトが乾く夏の点眼薬選びでは、「強そうな目薬」を選ぶことよりも、乾きの原因とレンズを付けている場面に合うものを選ぶことが大切です。環境を整え、無理な長時間装用を避け、症状が続く時は薬剤師や眼科と一緒に自分の目に合う対策を探してください。臨床現場では、症状が出る時間や場所、レンズとの関係を伝えることが、より安全で納得できる対策につながります。

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