
薬剤師が常駐しないコンビニで一般用医薬品を受け取れる?——2027年5月開始の「登録受渡店舗」制度
【結論】2027年5月20日開始
改正薬機法の省令により、登録受渡店舗制度が新設されるため
- 整備省令は2026年6月30日公布、制度施行は2027年5月20日と法定されている
- 薬剤師常駐なしでも委託元薬局が通信で確認・情報提供を行い、第1類は薬剤師が受渡管理者となる体制が必須
- 利用前に対応店舗の有無だけでなく、相談窓口の連絡先・対応時間を確認しておくと安心
薬剤師がいないコンビニでも一般用医薬品を受け取れる時代へ
夜間などに薬局へ行きにくいとき、対応サービスで一般用医薬品の購入手続きを行い、近くの店舗で受け取れたら助かると感じるかもしれません。令和9年5月20日(2027年5月20日)から始まるのは、このように薬の受け取り場所を広げる仕組みです。ただし、コンビニの棚から薬を自由に選び、日用品と同じようにレジで買える制度ではありません。
対応するサービスで必要な確認を受けた後、指定された登録受渡店舗で一般用医薬品を受け取る仕組みです。
対象となるのは、処方せんなしで買える薬のうち一般用医薬品です。新制度では、薬局または薬を販売する許可を持つ店舗が、登録された事業者に薬の受け渡しを委託します。その受け渡し場所が「登録受渡店舗」です。コンビニが条件を満たして登録されれば、薬局などが遠隔で管理した一般用医薬品を、利用者に渡せるようになります。[4]
ここで大切なのは、「販売」と「受け渡し」を分けて考えることです。販売の責任を負うのは、薬局や店舗販売業者です。コンビニの店舗は、購入者に薬を手渡す場所です。棚に並んだ薬を客が自由に選び、レジへ持っていく従来型の販売とは、制度の考え方が異なります。
薬局実務では、薬を渡す前に「誰が、何のために、どの薬を使うか」を確認することが、安全の出発点です。新制度でも、この確認を省略するのではなく、通信設備を使って薬局側とつなぐことで、受け取り場所の制約を小さくします。便利さだけを優先するのではなく、必要な説明や相談先を確保する制度だと考えると分かりやすいでしょう。
一般用医薬品には、医師の処方せんで受け取る医療用医薬品とは異なり、本人が症状を見ながら使うことを前提としたものがあります。それでも、飲み合わせ、アレルギー、妊娠・授乳中かどうか、年齢、持病によって注意が必要な場合があります。コンビニで受け取れるようになっても、「市販薬だから必ず安全」「病院へ行かなくてもよい」という意味ではありません。
特に、緊急性が疑われる症状や、急速に悪化する症状がある場合は、受け渡し制度を使うかどうかよりも、医療機関や救急相談窓口への相談を優先しましょう。市販薬は、軽い症状への対応を助ける選択肢の一つです。
また、すべてのコンビニで開始日から薬を受け取れるわけではありません。登録受渡店舗になるには、構造や設備、連絡体制などの条件を満たし、登録を受ける必要があります。利用したい店舗が制度に対応しているか、どの薬局・販売店が販売を担当するのかは、店舗表示や案内で確認することになります。[4]
MogiMed編集部の見解では、急な不調に備えるなら、近所に対応店舗があるかだけでなく、販売を担当する薬局と相談方法も確認しておくことが大切です。
登録受渡店舗での受け渡しはいつから?制度改正の仕組み
受渡委託による一般用医薬品の販売と、登録受渡店舗での受け渡しは、令和9年5月20日(2027年5月20日)から始まります。これは、改正された薬機法に関係する省令によるものです。薬機法は、医薬品や医療機器を安全に扱うための法律です。省令は、その法律を実際に運用するための細かなルールであり、整備省令は令和8年6月30日(2026年6月30日)に公布されました。[4]
一般用医薬品の第1類・第2類・第3類は、すでにインターネットで販売できます。今回始まるのは、遠隔販売そのものを初めて認める制度ではなく、販売を担当する薬局や店舗販売業者が、登録受渡店舗で薬を渡せるようにする仕組みです。
「遠隔販売」という言葉から、薬が自動販売機のように出てくる仕組みを想像するかもしれません。しかし今回の制度は、単に薬の受け取り先を増やすものではありません。薬局または販売店が、購入者との通信、必要な確認、情報提供、薬の保管状況の遠隔管理を行うことが前提です。[4]
利用者にとっては、日中に薬局へ行きにくいときや、近隣に薬局が少ない地域で、受け取り場所が増える利点が考えられます。一方で、薬は食品や日用品とは違い、使い方を誤れば健康被害につながることがあります。そのため、便利な受け取り方法と安全な管理を両立させるための条件が設けられています。
制度では、登録受渡店舗について、誰でも入りやすい場所であること、十分に換気され清潔であること、住居や不衛生な場所と明確に区分されていることなどが求められます。難しい法律用語では「構造設備の基準」ですが、日常語でいえば、薬を安全に保管し、利用者が安心して受け取れる場所にするための決まりです。[4]
薬局実務では、保管場所の温度、湿気、取り違えの防止、期限管理は、薬の品質を守る基本です。受け渡し場所が増えるほど、薬局の中だけで行っていた管理を、離れた場所まで確実につなぐ必要があります。だからこそ、制度では単に「コンビニで渡してよい」とはせず、通信や記録、管理体制を細かく求めています。
なお、一般用医薬品には第1類、第2類、第3類という区分があります。第1類医薬品は、販売時に薬剤師からの情報提供が義務づけられている薬です。第2類医薬品は注意が必要な薬、第3類医薬品は比較的リスクが低い薬という位置づけです。区分が違っても、症状や体質によっては相談が必要であり、区分だけで自己判断の可否が決まるわけではありません。[1]
令和8年5月1日(2026年5月1日)には、別の改正として、要指導医薬品のインターネット販売に関する見直しも施行されます。要指導医薬品は一般用医薬品とは別に区分されるOTC医薬品で、薬剤師による確認と情報提供が特に必要とされるものです。ただし、対面での確認が適切な品目については、引き続き対面販売が求められます。今回のコンビニ受け渡し制度と、要指導医薬品のオンライン販売は同じものではありません。[1]
MogiMed編集部の見解では、「ネットで買える」「コンビニで受け取れる」という言葉だけで制度を一括りにしないことが重要です。薬の種類ごとに必要な説明や確認が異なるため、購入画面や薬局からの案内を最後まで確認しましょう。
遠隔で管理する仕組みと対象となる薬・コンビニの条件
新制度の流れは、利用者、販売を担当する薬局または店舗販売業者、受け渡しを行う登録受渡店舗の三者で成り立ちます。店舗販売業者とは、ドラッグストアなどのように、薬を販売する許可を受けた事業者です。登録受渡業者とは、薬局や販売店から委託を受け、登録受渡店舗で薬を渡す事業者です。
登録受渡店舗は薬を売る店ではなく、販売を担当する薬局・販売店の管理のもとで、一般用医薬品を利用者に渡す場所です。
利用者が注文や購入手続きをすると、販売を担当する薬局・販売店が必要な確認と情報提供を行います。その後、登録受渡店舗に保管された薬が利用者へ渡されます。受け渡し場所に薬剤師や登録販売者が常にいる仕組みではありません。その代わり、委託元の薬局・販売店と登録受渡店舗との連絡設備、利用者と通信する手段、遠隔で薬を管理する設備が必要です。[4]
登録販売者とは、一般用医薬品のうち第2類・第3類医薬品を販売できる専門資格者です。薬剤師とは役割の範囲が異なり、第1類医薬品の販売時の情報提供は薬剤師が担います。受渡委託で第1類医薬品を扱う場合、受渡管理者は薬剤師でなければなりません。受渡管理者は、登録受渡店舗の店頭で相談を受ける従業者という意味ではなく、受け渡しを安全に管理する体制上の役割です。[4]
第2類・第3類医薬品を扱う場合の受渡管理者は、薬剤師または一定の経験・研修要件を満たす登録販売者です。つまり、「店に資格者がいない」ことと、「資格者が関わらない」ことは別です。利用者の側から見ると、店舗に着いてから質問が必要になった場合、店員ではなく、案内された薬局・販売店へ連絡して相談する形になります。
薬は、受け渡し時間中も、購入希望者が直接手を触れられない鍵付きの設備などに置かなければなりません。受け渡し時間外には、設備に鍵をかけることも求められます。これは、薬の盗難や取り違えを防ぎ、誰がどの薬を受け取ったかを管理するためです。複数の薬局・販売店の薬を扱う場合は、委託元ごとに分けて陳列する必要があります。[4]
「コンビニの棚に風邪薬が並ぶ」というより、薬局などが遠隔管理する一般用医薬品を、店内の施錠管理された設備から従業者が受け渡す仕組みと考える方が実態に近いでしょう。具体的な設備、取扱品目、利用時間、本人確認の方法は、法令上の要件を満たす範囲で事業者ごとに異なる可能性があります。
販売を担当する薬局・販売店には、受け渡しの記録、担当者の勤務時間に関する記録、薬の受け渡し記録などを作成する義務があります。これらは、問題が起きたときに経過を確認し、再発を防ぐための記録です。利用者にとっては見えにくい部分ですが、遠隔で薬を扱う仕組みの信頼性を支える重要な土台です。[4]
薬局実務では、薬を渡した後に「飲んだら発疹が出た」「ほかの薬と一緒に使ってよいか不安」といった相談を受けることがあります。登録受渡店舗の従業者は、一般用医薬品に関する専門的な相談を受ける担当者ではありません。薬の使い方や副作用、飲み合わせを相談したい場合は、販売を担当する委託元の薬局または店舗販売業者に連絡します。制度上も、店舗で相談を受けられないこと、委託元には相談できること、健康被害救済制度などを利用者へ説明することが求められます。[4]
MogiMed編集部の見解では、受け取る前に、相談先の名称、電話番号や連絡方法、対応時間を確認しておくと安心です。



利用前に確認したい注意点と安全な一般用医薬品の選び方
購入時に思ったより質問を受けて、「ただの風邪薬なのに、なぜ聞かれるのだろう」と戸惑うことがあるかもしれません。しかし、その確認は購入を妨げるためではなく、同じ成分の重複や、使ってはいけない状況を見落とさないためです。遠隔で受け取る場合は、対面で表情や手元の薬を見せながら相談しにくいこともあるため、回答を正確に伝えることがより大切になります。
購入前には、症状、年齢、妊娠・授乳の有無、治療中の病気、普段使っている薬、薬によるアレルギーや副作用歴を整理しておきましょう。お薬手帳や服用中の薬の写真があれば、相談時に役立つ場合があります。これは制度上の一律の提出書類ではありませんが、安全確認の助けになります。
特に注意したいのが、複数の一般用医薬品を同時に使う場面です。風邪薬、せき止め、鼻炎薬、解熱鎮痛薬などには、同じ成分や似た働きの成分が含まれることがあります。「症状が違うから別の薬」と考えて重ねて使うと、意図せず同じ成分を多く使ってしまうおそれがあります。購入時には、すでに使っている一般用医薬品も含めて、販売担当者へ伝えてください。
また、一部の成分を含む薬は、乱用などを防ぐため販売時の確認が強化されています。令和8年5月1日(2026年5月1日)からは「指定濫用防止医薬品」という名称が使われ、エフェドリン、ブロモバレリル尿素、コデイン、プソイドエフェドリン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンの6成分を含む薬が対象です。ほかの店舗での購入状況、複数個や大容量製品を求める理由などが確認されます。[1]
| 対象成分 |
|---|
| エフェドリン |
| ブロモバレリル尿素 |
| コデイン |
| プソイドエフェドリン |
| ジヒドロコデイン |
| メチルエフェドリン |
この表は、販売時に確認の対象となる6成分を示したものです。対象の薬を買うこと自体が悪いわけではありません。必要な人が適切に使えるように、過量使用や目的外使用を防ぐ確認が行われます。一定の年齢未満の若年者には、購入量が1箱の少量に限られ、薬剤師または登録販売者が対面またはテレビ電話などで対応する仕組みです。[1]
指定濫用防止医薬品のルールは、登録受渡店舗制度とは別の販売時確認のルールです。対象成分を含む薬を登録受渡店舗で受け取れるかどうかは、各事業者の取扱品目や、必要な確認を行える体制によって異なります。
一般用医薬品を選ぶ際は、「有名な薬か」「すぐ受け取れるか」よりも、「今の症状に合うか」「自分が使ってよい条件か」を先に考えてください。鼻水、せき、発熱、胃の不快感など、一見よくある症状でも、長引く、繰り返す、急に強くなる、日常生活に支障が出る場合は、原因を診断してもらう必要があります。
たとえば、痛み止めを何日も使わないと動けない、せきやたんが続いて眠れない、皮膚症状が広がる、発熱と強いだるさが続くといった場合は、一般用医薬品を追加する前に医療機関や薬局へ相談してください。一般用医薬品は原因を治す薬とは限らず、症状を一時的に和らげることで受診の必要性に気づきにくくなることもあります。
MogiMed編集部の見解では、新制度の価値は「薬を急いで手に入れること」だけではありません。薬局への相談につながる入口を、生活に近い場所へ増やす点にもあります。利用者が相談を面倒な手続きと考えず、自分の症状を整理する時間として使えれば、便利さと安全性を両立しやすくなります。
令和9年5月20日(2027年5月20日)以降、薬剤師が常駐しないコンビニでも、一般用医薬品を受け取れる登録受渡店舗が登場する可能性があります。しかし、すべての薬、すべてのコンビニ、すべての時間帯で使える仕組みではありません。販売を担う薬局・販売店、遠隔で関わる薬剤師または登録販売者、相談先、保管・受け渡しの記録があって初めて成り立ちます。
薬剤師が常駐しないコンビニで一般用医薬品を買えるのか、という問いへの答えは、「登録された店舗を受け取り場所として利用できる場合がある。ただし、販売、確認、情報提供、相談対応は委託元の薬局・店舗販売業者が担う」です。急な体調不良に備えるなら、近くに対応店舗があるかだけでなく、普段から相談できる薬局、夜間や休日の医療相談先、受診が必要な症状の目安も確認しておくとよいでしょう。
- [1] 厚生労働省 (2025). 医薬品販売制度の改正——遠隔販売・濫用防止・要指導医薬品の見直し(厚生労働省 公式解説). Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html (Accessed: 2026-09-13)
- [4] 厚生労働省 医薬局長 (2026). 一般用医薬品の遠隔販売・登録受渡店舗に関する改正薬機法関係省令の施行通知(医薬発0630第1号). Available from: https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260702I0010.pdf (Accessed: 2026-09-13)










