OTC類似薬の追加負担はいつから?——2027年3月実施予定の仕組みと、今わかっていること

OTC類似薬の追加負担はいつから?——2027年3月実施予定の仕組みと、今わかっていること

【結論】2027年3月実施予定

厚労省資料では年月のみ明記され、具体的な開始日は未定

  • 対象は77成分約1,100品目、薬剤費の4分の1に消費税を加算
  • 薬剤師は処方箋の対象外理由記載を確認し必要時に医療機関へ問合せ対応
  • 子どもや妊娠中等は対象外の可能性、自己判断せず診察時に状況を伝えるべき

OTC類似薬の基本的な負担枠組みは提示済み:2027年3月までに確認したいこと

診察を受けて処方箋をもらったのに、薬局の窓口で「いつもより自己負担が高いのでは」と心配になるかもしれません。今回の見直しは、医療用医薬品をまとめて保険の対象外にするものではなく、市販薬との代替性が高い一部の処方薬に追加の料金を求める仕組みです。医師の診察と処方を受ける仕組みは維持されます。[2]

実施時期として示されているのは令和9年3月(2027年3月)です。ただし、資料には月までが記されており、具体的な開始日は明記されていません。対象外となる人や治療の細かな条件、窓口での扱いなどは、施行に向けた制度の整理と周知を確認する必要があります。[2]

国の資料では、まず77成分、約1,100品目が対象として示されています。一方、技術的な整理では、令和8年8月1日時点で77成分・1,042品目とされています。品目数には資料の作成時点による違いがあるため、実際の対象可否は施行時の対象品目一覧で確認することが大切です。薬の名前だけでなく、成分、飲み薬か塗り薬かといった使い方、一日の最大量、効能・効果も照らし合わせて整理されます。[2]

「一部保険外療養」とは、保険診療をすべてやめることではありません。日常的な言葉にすると、「保険診療を受けながら、その中の決められた部分だけを自分で追加して支払う制度」です。国の資料では、この仕組みを保険外併用療養費制度の中に新たに設けると説明しています。保険外併用療養費制度とは、保険診療と、患者が追加で支払う部分を組み合わせられる制度です。[2]

追加分は「特別の料金」と呼ばれます。これは、通常の1割・2割・3割といった保険診療の自己負担とは別の支払いです。対象薬では、薬剤費の4分の1が特別の料金となり、この料金には別に消費税がかかります。ここでいう薬剤費は、国が定める薬価を基礎に、診療報酬上のルールに沿って計算される薬剤料です。診察料や処方箋料、薬局での調剤に関する費用とは分けて考えます。[2]

たとえば、資料にある3割負担の例では、解熱鎮痛薬5日分の薬剤料だけを見ると、見直し前は45円、見直し後は72円です。去痰薬、つまりたんを出しやすくする薬5日分も45円から72円、便秘薬30日分は360円から570円、アレルギー症状を抑える薬30日分は540円から855円という例が示されています。実際には薬価、処方日数、消費税などで変わるため、この数字がそのまま全員に当てはまるわけではありません。[2]

薬局では、「薬代が3割から急に4分の1増える」と受け取りがちな点に注意が必要です。正確には、薬剤費に対する通常の自己負担に加えて、対象薬であれば薬剤費の4分の1を特別の料金として支払う構造です。医療費全体では診察料や薬局での費用も関係するため、会計総額が単純に25%増えるという意味ではありません。

また、同じ有効成分でも必ず対象になるとは限りません。市販薬と処方薬で成分が同じでも、処方薬のほうが異なる病気や治療目的で使われることがあります。国は、成分、投与経路、最大用量が同じかを出発点にしながら、効能・効果、年齢、剤形、治療目的などを考慮して、代替性が高い薬を整理する考え方を示しています。[1]

ここでいうOTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる市販薬です。要指導医薬品と一般用医薬品があり、一般用医薬品は第1類、第2類、第3類に分かれます。市販薬は自分で症状を判断して使うことを基本とした薬であり、医療用医薬品は医師の診断と処方を前提に使う薬です。同じ成分名が見えても、誰が、どの症状に、どのように使うかは同じではありません。[5]

MogiMed編集部の見解では、この違いがあるからこそ、「市販薬がある成分なら受診しなくてよい」と考えるのは危険です。今回の見直しも、必要な受診を確保したうえで処方された薬を対象に、追加負担の有無を考える仕組みです。発熱、強い痛み、症状の長期化、持病や妊娠などがある場合に、価格だけで受診を控えるための制度ではありません。[1]

OTC類似薬の一部保険外療養が検討される背景と制度の仕組み

なぜ、この見直しが進められているのでしょうか。背景には、市販薬で対応している人と、似た症状で医療機関を受診して処方薬の給付を受ける人との負担のバランスがあります。国は、OTC医薬品で対応可能な症状について、保険料で医療用医薬品を給付する必要性を見直し、保険料負担の上昇を抑える観点を示しています。[2]

ただし、これは「市販薬を買う人のほうが正しい」「処方薬を使う人が不必要に受診している」という意味ではありません。仕事や学校の都合で医療機関に行きにくい人もいれば、症状の原因を医師に調べてもらう必要がある人もいます。必要な受診を確保するため、対象薬を保険適用から完全に外すのではなく、薬剤費の一部だけを保険給付の対象外にする仕組みが示されています。[2]

制度の対象として想定されている症状には、鼻炎、胃痛や胸やけ、便秘、解熱や痛み、風邪症状、腰痛や肩こり、みずむし、口内炎、皮膚のかゆみや乾燥肌などがあります。もっとも、症状の名前だけで自動的に対象と決まるわけではありません。たとえば痛み止めを使っていても、手術後、慢性疾患の治療中、ほかの病気との関係で処方が必要な場合まで、同じ扱いにするとは限りません。[2]

技術的な検討では、医療用医薬品とOTC医薬品の効能・効果が対応するかを丁寧に確認しています。効能・効果とは、その薬がどの病気や症状に使えると認められているかを示すものです。市販薬では「たん」「頭痛」と症状中心に書かれ、処方薬では「急性気管支炎」など病名中心に書かれることがあります。そのため、単に成分名が同じだからといって、同じ治療目的とは言い切れません。[1]

たとえばカルボシステインは、気道の病気では、たんの排出を促す目的で使われます。一方、慢性副鼻腔炎では、鼻腔・副鼻腔の排膿を促す目的で用いられる場合があります。このように同じ成分でも治療目的が異なり得るため、病気や効能・効果ごとの整理が必要です。[1]

制度には、負担への配慮も組み込む方向です。18歳以下の子ども、がん・指定難病に関連する治療、公費負担医療、入院中の療養、処置・手術・検査に伴って処方を受ける場合、医師が長期使用を医療上必要と考えた場合などについて、特別の料金を求めない範囲が検討されています。処置などに伴う処方では、14日以内分を対象外とする案も示されています。[2]

この「対象外」は、患者さんが窓口で口頭申告すれば自動的に認められるという意味ではありません。医師が病気、処置との関係、長期使用の必要性などを確認し、対象外とする場合は処方箋に理由を記載する運用が示されています。処方箋とは、医師が薬局に出す薬の指示書です。薬局はその記載を確認し、必要に応じて医療機関に問い合わせます。[2]

妊娠中、妊娠している可能性がある場合、授乳中の場合も重要です。市販薬の説明書に「服用しないこと」と書かれていても、その一文だけで追加負担の対象外とは決まりません。ただし、医師が母体への治療上の利益と胎児・乳児への影響を比較し、例外的に必要と判断して処方する場合は、対象外とする整理が示されています。自己判断で市販薬に切り替えるのではなく、妊娠・授乳の状況を診察時と薬局で必ず伝えることが大切です。[2]

薬局では、対象外の理由が処方箋に書かれていないと、薬剤師が患者さんに事情を聞くだけで会計を変更することはできません。処方内容と制度上の記載を確認するため、医療機関へ問い合わせる場合があります。窓口で少し待つことがあっても、不要な追加負担や誤った扱いを避けるための確認です。

なお、同じ薬が、後発品のある先発医薬品を患者が希望して選んだ場合の「長期収載品の選定療養」の対象になることがあります。選定療養とは、患者が自分で選んだ場合に一部を自己負担する制度です。今回のOTC類似薬の一部保険外療養に当たる場合、その特別の料金と長期収載品の特別の料金を重ねて請求しない考え方が示されています。[2]

MogiMed編集部の見解では、追加負担の有無は薬の名前だけで決めず、病気、治療目的、処方の必要性を含めて確認することが大切です。

患者はどう備える?受診・市販薬購入時に確認したいポイント

制度が始まる前に、薬をやめたり、市販薬へ切り替えたりする必要はありません。まずは、今使っている薬が何の病気や症状のために出ているのかを知ることが第一歩です。「鼻炎の薬」「痛み止め」といった大まかな理解だけではなく、医師が治療の中で必要と判断した理由がある場合があります。

受診前には、お薬手帳やスマートフォンのお薬情報を持参し、飲んでいる薬、市販薬、サプリメントを伝えてください。お薬手帳は、過去の処方薬やアレルギー、副作用歴などを記録する手帳です。複数の医療機関や薬局を利用しているときほど、一つにまとめた情報が役立ちます。薬剤師は、同じ成分の重複や、飲み合わせの問題を確認しやすくなります。

「窓口で思ったより自己負担が高かった。何か書類を出し忘れたのだろうか」と手が止まる場面もあり得ます。そのときは会計を急いで済ませず、「今回の薬は特別の料金の対象ですか」「通常の自己負担と追加分を分けて説明してもらえますか」と薬局で確認してください。薬局は、対象薬であれば追加負担の説明を行い、必要に応じて処方医へ確認する役割を担います。[2]

子ども、がん・指定難病に関連する治療、入院、妊娠・授乳、長期使用などに当てはまる場合は、「対象外になるはず」と自己判断せず、診察時に状態を伝えてください。特に長期使用は、単に長く飲んでいる事実だけではなく、医師が医療上必要と判断することが前提です。処方箋上の扱いにも関係するため、薬局で初めて相談するより、医師に治療上の必要性を確認するほうが確実です。[2]

市販薬を選ぶ際も、「処方薬より安そうだから」という理由だけで選ばないことが重要です。OTC医薬品は、処方箋なしで買える薬ですが、誰にでも安全に使えるとは限りません。年齢、持病、妊娠・授乳、ほかに飲んでいる薬によって、使えない場合や注意が必要な場合があります。市販薬には、薬剤師から説明を受けて購入する第1類医薬品もあります。[5]

市販薬を買うときは、症状がいつからあるか、熱の有無、使った薬、持病、妊娠・授乳の可能性を薬剤師または登録販売者に伝えましょう。登録販売者とは、主に第2類・第3類医薬品を販売し、その範囲で情報提供や相談対応を行う専門資格者です。要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師による対応が必要です。症状が強い、繰り返す、悪化する、長引く場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく受診が必要です。[5]

市販薬の販売方法も変わりつつあります。要指導医薬品は、一定の条件の下でオンラインでの情報提供を受けたうえでインターネット販売が可能となる仕組みが、令和8年5月1日(2026年5月1日)に施行されます。一方で、対面での確認が適切な品目は、引き続き対面販売が必要です。これはOTC類似薬の追加負担とは別の制度ですが、「ネットで買えるから自分だけで判断してよい」とは限らないことを示しています。[5]

薬局では、処方薬を受け取るときに、市販薬へ切り替えるかどうかを一律に勧めることはありません。薬剤師は、診断が必要な症状では受診を勧め、すでに医師の治療を受けている人では治療方針との整合性を確認します。費用の相談は遠慮せず、「市販薬で対応できる場面か」「同成分の重複はないか」「受診を続けるべき理由は何か」を質問してください。

また、対象範囲は今後広がる可能性が議論されています。国は、施行状況を把握・分析したうえで、令和9年度以降に対象範囲や特別の料金の割合を見直すことを検討するとしています。令和9年度は令和9年4月1日(2027年4月1日)から令和10年3月31日(2028年3月31日)までです。開始直後だけでなく、翌年度以降の変更にも注意が必要です。[2]

臨床現場では、費用だけで薬を選ぶと、治療の目的や安全性が見えにくくなることがあります。気になるときは、受診先または薬局で早めに相談しましょう。

まとめ:最新情報を確認し、自己判断せず医師・薬剤師に相談を

OTC類似薬の一部保険外療養は、令和9年3月(2027年3月)の実施が予定されています。具体的な開始日は資料に示されていません。処方薬を保険から一律に外すのではなく、市販薬との代替性が特に高いと整理された薬について、通常の保険自己負担とは別に特別の料金を求める方向です。[2]

追加負担は、対象薬の薬剤費の4分の1に消費税を加える仕組みです。ただし、対象薬の最終的な一覧や、病気・治療目的ごとの扱い、対象外となる条件は、施行までに確認が必要です。子ども、がん・指定難病に関連する治療、入院中の療養、医師が長期使用を必要と判断した場合などには配慮する方向が示されています。[2]

薬局では、処方箋の記載と患者さんの治療状況を確認しながら、追加負担を正しく扱うことが求められます。患者さんにとっては、会計が変わったときに「なぜこの金額なのか」を質問できることが安心につながります。お薬手帳を持参し、持病や妊娠・授乳、市販薬の使用状況を伝えることも、適切な判断に役立ちます。

OTC類似薬の追加負担はいつからかという問いへの答えは、現時点では2027年3月の予定です。開始日や対象薬の確定情報を確認し、費用だけで薬を選ばず、受診時は医師に、購入時は薬剤師に相談してください。

MogiMed編集部の見解では、市販薬は便利な選択肢ですが、医療用医薬品の代わりになるかどうかは症状と治療目的によって異なります。

  1. [1] 厚生労働省 保険局 (2026). OTC類似薬の一部保険外療養の施行に向けた技術的な検討について(第2回技術的検討会 資料1)——対象成分と負担の考え方. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12403550/001720129.pdf (Accessed: 2026-10-07)
  2. [2] 厚生労働省 保険局 (2026). OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(令和8年8月27日 第213回社会保障審議会医療保険部会 資料1)——対象品目と適用除外. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001742888.pdf (Accessed: 2026-10-07)
  3. [5] 厚生労働省 (2025). 医薬品販売制度の改正——遠隔販売・濫用防止・要指導医薬品の見直し(厚生労働省 公式解説). Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html (Accessed: 2026-10-07)

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